ありのままのEV
京都のベンチャー企業、GLMが初めて手がけた量産電気自動車(EV)「トミーカイラZZ」。自動車メーカーとしての第一歩となる99台の限定モデルは、電動パワープラントならではの刺激と、走る楽しさにあふれたピュアスポーツカーだった。
ドアハンドルは内側だけ
この5月にコンセプトカー「AKXY(アクシー)」を発表したのは旭化成である。化学素材や医療品、建築など幅広い分野で存在感を示す大企業だが、今後はより自動車事業に力を注いでいく意欲を明らかにしたのだ。AKXYはSUVタイプのEVで、旭化成が手がける樹脂や人工皮革などの素材が使われている。ショーケース的な試作品であり、私たちが乗ることはできそうにない。ただ、同じプラットフォームを使ったクルマはすでに販売されている。
大企業とはいえ、さすがに自動車製造のノウハウは持ち合わせていない。パートナーとして車両設計や製作を手がけたのが、EVメーカーのGLMである。京都大学発のベンチャー企業で、4月にはスーパーカー「G4」の量産化を発表していた。GLMが初めて製造・販売したのがトミーカイラZZだ。1995年にトミタ夢工場が発表したスポーツカーをEVとしてよみがえらせ、2015年に量産が始められた。AKXYはこのモデルのシャシーやパワープラントを使って仕立てられているのだ。
トミーカイラZZは99台の限定生産であり、なかなか試乗の機会がなかった。ようやく実物を目のあたりにできたのはいいものの、あまりの迫力に気後れしてしまった。スポーツカーというより、レーシングカーと言ったほうがいい。低く構えたワイドなボディーは、抑揚が豊かでグラマラスな造形である。サイドシルは極端に幅が広く、乗り込みにくいことこの上ない。ドアハンドルが内側にしかないのは、オープンで乗ることが前提だからだ。
物を置くスペースは用意されていない。荷物は助手席に座る乗員が抱えることになる。ドアを閉めるとサイドシルの峰との間に細長い空間が出現する。ペットボトルや財布を置きたくなるが、降りる時に間違いなく落下するだろう。...