背筋が伸びる
中国のBYDが日本での自動車販売をスタートする。その嚆矢(こうし)となるのがCセグメントSUVの「ATTO 3(アットスリー)」だ。初号機ゆえに仕上がりは文句なし。これが車両本体価格440万円というのだから、間違いなく黒船級の衝撃である。
世界2位のBEVメーカー
「Build Your Dreams」の頭文字をとってBYD。中国・深センに本社を置くこの会社の設立は1995年。電池開発製造を祖業に、携帯電話の普及や周辺技術の発展とともにトントン拍子で会社は大きくなり、2003年には子会社で自動車製造を開始する。そのころから創業者の王伝福氏は技術や調達で利が発揮できる電動車に焦点を当てて成長計画を描き、それに賛同したウォーレン・バフェット氏はリーマンショックの渦中に10%の出資を決める。
その後は中国の驚異的経済成長にも乗り、自動車メーカーとしての存在感を高めていく一方で、政策の追い風にも乗って国内を中心にパワートレインの電動化を推進。そして2022年中には内燃機モデルの販売を終了し、電気自動車(BEV)専業メーカーにシフトするとしている。ちなみにBEVの販売台数もテスラに肉薄する世界2位だ。
……と、その歴史や背景を勉強するにつけ、驚かされるのはBYDの成長ぶりがいかにただならぬ勢いだったかということだ。例えば従業員数でみても、現在はグループ全体で創業時のざっと1万倍に近い約22万人という。次はインドだアフリカだと言われてはいるも、われわれがこの規模の成功物語を目にするのは相当難しいのかもしれない。
そんなBYDが抱く大きな目標は当然ながらBEVを武器にした本格的な世界進出だ。そのターゲットには日本も含まれていて、2025年までに100以上の実店舗を構えての販売網を構築するという計画が先だって発表された。そこでの中心的な商材と目されるのがこのATTO 3。フォルクスワーゲンになぞらえれば「ID.4」にあたる世界戦略車としてこの春から、本国を皮切りに販売が開始されたクルマだ。...