走りの次元が高すぎる
BMWの“走り”の象徴である「M」の名を冠するネイキッドスポーツモデル「M1000R」。パフォーマンスのあくなき追求が生んだ新しいモーターサイクルは、いかなるマシンに仕上がっているのか? スーパースポーツの新型「S1000RR」ともども、その実力を報告する。
「S1000R」との違いはあまりに大きい
四輪のBMWでは古くからリスペクトされ、しかし二輪では、これから存在感を増していくことになるハイパフォーマンス仕様が、「M」の名を持つモデルだ。第1弾となった「M1000RR」は2020年に登場したばかりのスーパースポーツで、次の一手として、この「M1000R」が加えられた。
成り立ちを簡単に記しておくと、BMWは二輪の市販車最速を争うレース「スーパーバイク世界選手権」に参戦すべく、2009年に「S1000RR」を発表した。その外装を取り除き、セパレートハンドルをアップハンドル化したバージョンが「S1000R」だ。これによって速さに特化したフルカウルモデルと、安楽さを優先したネイキッドモデルというラインナップが完成。幾度かのマイナーチェンジとフルモデルチェンジを経た後、それぞれの機能を高めたプレミアムグレードとして、Mの頭文字を持つモデルが追加されることになった。
もっとも、現行のS1000RとM1000Rの間にある差は、「機能を高めた」という表現では収まり切らないほどに大きい。なにせエンジンスペックがまったく異なり、S1000Rの最高出力が165PS/1万rpmなのに対し、M1000Rのそれは210PS/1万3750rpmにもなるのだ。排気量999ccの並列4気筒という形式は共通のまま、実に45PSもプラスされている。もちろん、Mの名を免罪符にして、耐久性や実用性を無視したチューニングを施したわけではない。S1000Rのエンジンとは世代が異なり、シフトカム(可変バルブタイミングの一種)を採用した最新ユニットに換装されているのだ。
スーパースポーツの世界で、最高出力が200PSを超えているかどうかがひとつの境界線になっていたのは、ほんの数年前のことだ。今やこうして、ネイキッドモデルが悠々とその大台を上回り、かつてない次元で覇を競っている。M1000Rも、同時期に発表された格好のライバル「ドゥカティ・ストリートファイターV4 SP2」(1103cc・208PS/1万3000rpm)に対して、2PSの差でマウントをとる格好になった。...