帰ってきたトヨタの顔
これまでのイメージを一変させる、衝撃的なルックスで登場した新型「トヨタ・プリウス」。では、その走りの質はどうなのか? 発売に先駆けて、パワーユニットや駆動方式の異なるプロトタイプでチェックした。
大物だって変わらなきゃ
2022年11月中旬、ここ日本にてワールドプレミアとなった新型プリウス。なんといっても驚かされたのは大胆なプロポーションだ。
クルマというよりテック系を思わせるロジカルでストレートなプレスカンファレンスのプレゼンターを務めたのが、トヨタデザインの統括部長であるサイモン・ハンフリーズ氏だったことからもわかるとおり、5代目となるプリウスの第1の売りはデザインだ。
ディテールを見るに、直近のトヨタデザインのキーとなっているハンマーヘッドシャーク調の顔面に始まり、ボンネット、Aピラーからルーフトップへと一直線につながりながらリア側へとワンモーションの弧を描きつつ、ふくよかな前後フェンダーアーチとともにウエストの絞り感を強めてグラマラスな側面を形成。大幅にキャラクターラインを整理しシンプルな塊で見せる造形へと移行したことがわかる。
そして第2の売りは、走りの良さ。これはエンジニアのコメントうんぬんから推測される開発のポイントということにはなるが、デザインと走りという2点をもって、選ばれて愛されるオーナーカーとしての魅力を際立たせるという。この話は、プリウスのコモディティー化をむしろ受け入れようとする豊田章男社長の意向に対する開発陣のレジスタンスとして、プレスカンファレンスの場でも象徴的に取り上げられていた。
周知のとおり、現在のトヨタの販売を支えるのはハイブリッド車だ。2021年のトヨタ&レクサスブランドの年間販売台数が約960万台。そのうちの約260万台をハイブリッドが占めている。日本市場では約136万台中、約56万台がハイブリッドと、もはや2台に1台をうかがおうかという数だ。初代プリウスの登場から四半世紀でこれほどの勢力となったわけだから、海外勢が折につけBEV推しのゲームチェンジを仕掛けてくるのもむべなるかなである。
そのうえ、プリウスの四方には今やさまざまなハイブリッドモデルがある。燃費ホルダーとしての役割は既に「ヤリス」や「アクア」に押さえられ、ユーティリティーでは「カローラ ツーリング」や「ノア/ヴォクシー」にはかなわずと、内ゲバのみならず敵陣にも「e:HEV」や「e-POWER」が配備された。そのなかでプリウスはどこに存在意義を見いだすのか。トヨタの葛藤もよくわかる。...