ここまでやるか
「EQS53 4MATIC+」はメルセデスAMG初をうたう電気自動車だ。「M」や「RS」には負けられないという意気込みのもと開発されているだけあって、そのつくり込みには一切の隙がない。ワインディングロードで実力の一端を味わってみた。
メルセデス、半端ない
既存のSUVをベースにしたこれまでの「EQA」や「EQC」なら「へえー、これが電気自動車ですか?」と言っていた隣家のオトーサンも、このEQSを見たら「これは一体何ですか?」とびっくり仰天するはずだ。メルセデスの新しいフラッグシップBEVはそれほど未来的というか衝撃的な姿形をしている。BEV専用プラットフォームのなせる業だが、ちょっと前ならショーモデルでしかありえなかったフォルムのクルマが実際に市販される時代になったんだなあ、とため息が出る。
もちろん、見た目だけではない。しっかりと形態は機能に裏打ちされている。EQSの空気抵抗係数はなんと0.20と驚異的で、市販車としては世界最高値である。これほどの数値はタイヤをスパッツで覆った速度記録車にしか達成できなかったものだが、メルセデスは彼らが「ワン・ボウ(一筆書きの弓型)」と称する、ツルリ、ぺったんこのコンセプトカーのようなフォルムのボディーに徹底的な細部処理を施すことで実現した。例えばAピラーとウインドシールドの段差はラバーストリップで埋められており、ドアハンドルも格納式、さらに密閉のためにフェンダー部まで回り込んだフロントフードも開かない。正確に言うと、ユーザーが日常的に開けることは想定されておらず、高性能HEPAフィルターを交換する場合などサービス工場でのみ開閉可能という。それゆえ左前フェンダー部にはウオッシャー液注入用のフラップが別に設けられている。さらに車高もエアサスペンションによって車速に応じて低められるという。やる時は、ここまでやるかとあきれるほど徹底的なのがメルセデスである。...