しみじみ上質
BMWの旗艦クーペ「8シリーズ」がマイナーチェンジを受けた。その中身は内外装の手直し、いわゆるフェイスリフトにすぎないが、乗ればやはりうならされるものがある。4ドアモデル「グランクーペ」の仕上がりをリポートする。
やはり違う、という現実
今の時代、もうメカニズムによる違いなんて事実上ないでしょ? と、シンプルにロングボールを蹴り込まれると簡単にははね返せない。確かにほとんどの場合、おっしゃるとおりです。いやいや、違いはあるんですよ、と説明しようとしても、名だたるプレミアムブランドが電気自動車(BEV)を続々と投入している今、あの「クラウン」でさえ横置き4気筒のFWDベースに生まれ変わった今、昔ながらの直列6気筒エンジンと後輪駆動プラットフォームにこだわる理由をひとことで説明するのは正直難しい。そもそも当のBMWだって今では各種FWDモデルをそろえているのに、とさらに攻め込まれると言葉に詰まる。
スポーツの世界で昔から言われるあのフレーズで、すなわち経験したことのある人は言わなくても分かるが、一度も経験したことのない人には説明しても分からない、と逃げを打ちたくなるが、それではわれわれの商売あがったりなので、できるだけ簡潔に答えれば、BMWがいっぽうでいまだに後輪駆動モデルにこだわるのは、そうでなければ実現できない性能あるいは価値があるから、そしてそれを求めるカスタマーが存在するからである。もちろんそのぶん価格は上がるが、やはり高価な商品はそれ相応に見事な出来栄えである、ということを認めなければいけない。
BMWの旗艦クーペたる現行型8シリーズは、1990年代の8シリーズ クーペ(リトラクタブルライトを備える2ドアクーペ)からだいぶ間をおいて(その間は「6シリーズ クーペ」が受け持った)、2018年に復活した2世代目で、4ドアのグランクーペはその翌年に追加されたモデルである。...