理詰めの官能
外観は既存のマクラーレン車との連続性が保たれている「アルトゥーラ」だが、その中身はエンジンやシャシーなどがまるごと刷新された新世代モデルの第1弾である。高度な電動化が施されたミドシップスポーツを、箱根のワインディングロードで試す。
似た者同士のライバル
思い起こせば昨2021年は、スーパーカーセグメントの電動化に関する具体的数字を伴った中期計画が続々と発表されるのみならず、その具体的な動きも見えてきた感慨深い一年だった。
とりわけ驚いたのは、このマクラーレン・アルトゥーラと、「フェラーリ296GTB」のエンジニアリングのかぶり具合だ。ともに立ち位置としてはラインナップのセンターピラーの電動化という重要なプロジェクトであることは明らかで、おのおのどんな手を繰り出してくるのかと好奇の視線を集めていた。
ふたを開けてみれば、両車のパワートレインの構成はとてもよく似ていた。ともに3リッター、ともにV6、ともに駆動用モーターを挟みつつ8段DCTでドライブするPHEV……。そしてシート背後に積むリチウムイオンバッテリーの容量もほぼ7.4kWhにして、V6エンジンのバンク角は120度と、それはもう示し合わせたかのようである。レーシング出自のエンジニアリングで最適効率を突き詰めたがゆえだろうが、ここまで同じような感じになるもんかなぁとほほ笑ましくもなるわけだ。
V6エンジンにおいて一次振動を相殺できる理想的なバンク角は120度だ。が、思い浮かべる限り量産モデルでその採用例はない。理由は簡単で、前側のエンジンベイに入れることが物理的に難しいからだ。横置きでは前後幅をとりすぎるし縦置きでは操舵角がとれないしと、実用性にも汎用(はんよう)性にも著しく欠けるわけで、要は市販車的には後ろに入れるしか使いようがない。
すなわち、それができるのはリアミドシップをラインナップの核とするスーパーカーのみ。このカテゴリーは搭載するエンジンは8気筒以上という不文律に長年縛られてきたのはご存じのとおりだ。が、パワートレインの電動化に伴ってエンジンとトランスミッションの間にモーターを置くスペースをひねり出す必要に迫られた際、シリンダーを2気筒カットしたV6化が合理的だと判断されたのだろう。...