令和の国民車
モデル数は少ないながらも、日本にベストマッチなジャンルとして人気を博しているコンパクトミニバン。その一翼を担うのが「トヨタ・シエンタ」だ。3代目となる新型は、使えば使うほどに感心させられる、細部までしっかりつくり込まれたクルマとなっていた。
日本の道路と日本人の生活に合ったカタチ
2003年9月に誕生した初代は2010年に販売を終了。しかし、それから1年を経ずして販売が再開され、その後2度のフルモデルチェンジを経て現在に至るという数奇(?)な運命をたどってきたのが、トヨタ最小のミニバンというポジションに置かれたシエンタだ。
一度は販売を終えたモデルが再登板という珍しいドラマが展開された理由は、「後継モデルへの移譲が思いどおりに進まなかった」という点にある。そんなシエンタの復活劇や、昨今における軽スーパートールワゴンの隆盛を耳にすると、もはや日本での主流は「コンパクトサイズのスライドドア付きモデルなんだナ」と、あらためて認識せざるを得ない。
世界の自動車マーケットのナンバー1とナンバー2が、ともに大きなクルマを好む中国とアメリカになって久しく、さらにそうした地では、航続距離を伸ばすために大容量バッテリーを搭載するという“力業”に臨んだピュアEVの販売が急伸しつつあると聞く。再開発された地域以外では、まだまだ狭隘(きょうあい)でしかも電信柱が飛び出した道路が少なくなく、大出力充電器のインフラ整備も絶望的といえるほど進展していないわが国にあっては、そうした実情と多くの輸入車との“乖離(かいり)現象”がますます進行していることを実感させられる。
果たして、2022年夏に3代目となった新型シエンタの販売の立ち上がりは好調と伝えられる。また最大のライバルとされ、シエンタ同様5ナンバーサイズでスライドドアを備える「ホンダ・フリード」も「2022年度上半期3列シートミニバン販売台数第1位」を達成。現行型の登場から丸6年が経過して、そろそろフルモデルチェンジがウワサされるにもかかわらず、やはり好調を継続中だ。
正直、趣味性が低いゆえに”クルマ好き”の興味の対象とはなりにくいキャラクターなのは事実であろうが、国情に合致し、マーケットも活況を呈しているのは事実。そんなコンパクトミニバンの新顔である新型シエンタに、あらためてスポットライトを当ててみた。...