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ベントレー・フライングスパーW12 S(4WD/8AT)【試乗記】


育ちの良さは隠せない

「ベントレー・フライングスパー」に、最高速度325km/hの「W12 S」が登場! ベースモデルに上乗せされた10psと20Nmに、230万円のエクストラに見合う価値はある? ややコワモテの試乗車と対した筆者は、見て驚き、乗って驚き、走らせてまた驚いた。

エクステリアに漂う不穏なムード

ベントレー・フライングスパーW12 Sとの待ち合わせ場所は、マツダ ターンパイク箱根の小田原側の麓、料金所手前の駐車スペースだった。私は1時間ばかり早めに到着したので、すぐ近くにある石垣山一夜城歴史公園に初めて登ってみた。徒歩10分ほどで山頂に至り、朝の7時半頃、清らかな空気と光のなか、幸福な一瞬を味わった。空は晴れ渡り、桜のピンク色の花びらがひらひらと舞っている。天守閣のあった場所は木がうっそうとしていて、新緑のなか、白い花が地面に咲き誇り、夢幻のごとくである。小田原城を一望にできるこの地に築城した秀吉は、家康をはじめ、武将たちを呼び集めて連日どんちゃん騒ぎを繰り広げたという。400年ちょっと昔の話。いまは崩れた石垣のみが残っている。

ある種の歴史的感慨を抱いたのち、私はターンパイクへと向かったのだけれど、いやはやびっくらぽん! すでに到着していたフライングスパーW12 Sを見て仰天した。イギリスの伝統ある名門の高級4ドアセダンをこんな風にしてしまうなんて! これではジェントルマンというより、君はファンキーモンキーベイビーぢゃないか。どう見てもシャコタンで、本来は上品なクロームで輝いているべきパーツが、グリルも窓枠もホイールも真っ黒けに塗りつぶされていて、不穏なムードを醸し出している。

革新とは破壊である。こんな車体色を広報車に選んだ人はエライ! というのはまた別の感想だけれど、ともかく趣味がよいとか悪いとかは紙一重であるというような説を思い出しつつ、私はこのヤンキーなベントレーに対して、サー・リチャード・ブランソンかサー・ミック・ジャガーみたいな反権威主義的アントレプレナー、あるいはロケンローラーな気概を持って臨むことにしたのだった。...

提供元:webCG

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