カルロの魂
FCAが擁する高性能スポーツブランド「アバルト」のラインナップにおいて、最もベーシックなモデルとなるのが「595」である。刺激的な走りと門戸の広さを併せ持つAT仕様に試乗し、“さそり印”のスポーツカーに受け継がれる伝統に思いをはせた。
車名変更でフィアットと差別化
車名に「アバルト」が入っていれば、「フィアット」の高性能版だろうなと想像がつく。イタリア車について多少の知識があれば当然のことだが、世間一般の常識ではない。4月に東京の代々木公園で行われた「アースデイ東京」でアバルトがサポートするNPO法人の取材をした時、話を聞く前にブランドの歴史を説明するハメになった。担当者の女性から「支援していただいているのはありがたいんですが、アバルトって何なのかよくわからないんです……」と言われたからである。
これまで「アバルト500」と呼ばれていたモデルを「アバルト595」に改名したのは、差別化を明確にするためだろう。知らない人にとっては、「フィアット500」と同じような形をしたクルマが別の名前で呼ばれていることは不可解かもしれない。以前から上級グレードには595の名が与えられていたが、ベーシックなモデルも595を名乗ることになった。この数字は、1957年デビューの2代目500をチューンしたかつてのモデルに由来している。479ccだったノーマルから拡大された排気量の数字なのだ。
現代の595に搭載されるエンジンは、もちろん595ccではない。直列4気筒1.4リッターターボエンジンで、145psの最高出力を得ている。改名と同時にマイナーチェンジが行われ、従来のMT版135ps、AT版140psからパワーが向上した。上級版の「ツーリズモ」165ps、「コンペティツィオーネ」180psには見劣りするが、リッター100psを超えるハイチューンである。
内外装にも小変更が施された。前後バンパーの形状が変更され、フロントライトがLEDになった。リアコンビネーションランプの変化が最もわかりやすい。ドーナツ状になり、真ん中はボディーの地肌がむき出しになる。インテリアでは、開放型だったトレイに代えてフタ付きのグローブボックスが採用された。...