企業による新卒社員の獲得競争が激しくなっている。しかし、本当に大切なのは「採用した人材の育成」だろう。そこで参考になるのが『メンタリング・マネジメント』(福島正伸著)だ。「メンタリング」とは、他者を本気にさせ、どんな困難にも挑戦する勇気を与える手法のことで、本書にはメンタリングによる人材育成の手法が書かれている。メインメッセージは「他人を変えたければ、自分を変えれば良い」。自分自身が手本となり、部下や新人を支援することが最も大切なことなのだ。本連載では、本書から抜粋してその要旨をお伝えしていく。
「指示」をするか、「提案」をするか
助言、提案で大切なことは、相手のために貢献する気持ちを強く持つことです。
前向き、好意的な表現で、一つでも多くの解決策やアイデアを提供して、相手のために尽くします。
この時も、決して判断を急がせたり、押しつけたりすることのないように注意しなければいけません。
メンターは、「どうすべきか」という手法を細かく指示することはしません。
細かく行動を指示すればするほど、相手はこちらに依存してくるようになってしまうからです。
メンターが相手に対して行うのは、指示ではなく提案です。そして、たとえ細かなことまで提案することがあったとしても、最後はすべて相手に決めさせます。
それは、相手が自分で決めて行動することを、メンターは何よりも重視するからです。
指示とは「こちらが決めたことを相手に行動させること」であり、提案とは「行動するかどうかを相手に決めさせること」です。
もちろん、相手から尊敬されるようになれば、どのような提案をしたとしても、相手は全力で提案されたことを行動するようになります。
「相手がわかる言葉」で伝える
教える、または指導するということは、必要とされる知識や情報、技術などを相手に伝えることです。
その際、注意することは相手のレベルに合わせて、「わかる言葉でわかるように伝える」ことです。
特に、専門用語には気をつける必要があります。難しい言葉には、解説も加えるようにしましょう。
相手にとって、わからない言葉が一つあるだけで、こちらが何を言っているのかわからなくなってしまうことがあるからです。
また、わかりにくいことを伝える場合は、身近な物事に例えて伝えると良いでしょう。
相手がわからなければ、教えたことにはなりません。相手の状況に合わせた、思いやりのある伝え方をすることが大切です。