コンセプトに乗るということ
マイナーチェンジにより、400kmにせまる一充電走行可能距離を実現したBMWの電気自動車「i3」。レンジ・エクステンダーを搭載した最上級グレード「スイート」の試乗を通し、類例のないその魅力をあらためて確かめた。
大容量バッテリーで航続距離を伸長
最近では試乗するクルマの多くが、何らかの形で電気モーターを利用している。ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)、電気自動車(EV)を合わせると、内燃機関だけのクルマより多いのではないか。すっかりモーターの感覚には慣れたのだが、2014年に初めてBMW i3に乗った時はまったく異なる運転感覚に衝撃を受けた。アクセル操作だけで加減速を行うワンペダル運転は、EVの中でも特異なものだった。
FCVの「トヨタ・ミライ」にしても、「プリウス」とあまり感覚が変わらない。新世代車であっても従来のクルマから自然に乗り換えられることが大切だと、トヨタは考えているようだ。BMWは逆の発想をする。i3を内燃機関のクルマとは異質な乗り物に仕立てようとした。新しいコンセプトが盛り込まれれば、自動車の姿は変わっていくという主張である。
よく知られているように、EVの最大の弱点は航続可能距離である。エネルギー密度の高いガソリンに比べると、電池はかさばるし重い。i3はレンジ・エクステンダー装着車を用意することで、弱点を克服しようとした。納得できる手法だが、根本的な対策は電池とモーターの性能向上であるはずだ。マイナーチェンジでは、大容量バッテリーの搭載で航続距離を大幅に伸ばしたという。従来モデルより70%アップの390km(JC08モード)という数字は驚異的だ。レンジ・エクステンダー装着車なら、東京から大阪まで走れる500km超に伸びる。
実力を試すために、東京から箱根までを往復することにした。3年前の試乗と同じルートである。今回もレンジ・エクステンダー装着車が用意されていた。ボディーカラーはプロトピック・ブルー。これまでは「i8」でしか選べなかった色である。東名高速道路から小田原厚木道路を経て箱根のターンパイクを目指す。...