世界1200都市を訪れ、1万冊超を読破した“現代の知の巨人”、稀代の読書家として知られる出口治明APU(立命館アジア太平洋大学)学長。世界史を背骨に日本人が最も苦手とする「哲学と宗教」の全史を初めて体系的に解説した『哲学と宗教全史』がついに11万部を突破。「ビジネス書大賞2020」特別賞(ビジネス教養部門)を受賞。発売2年経っても売れ続けるロングセラーとなっている。
◎宮部みゆき氏(小説家)が「本書を読まなくても単位を落とすことはありませんが、よりよく生きるために必要な大切なものを落とす可能性はあります」
◎池谷裕二氏(脳研究者・東京大学教授)が「初心者でも知の大都市で路頭に迷わないよう、周到にデザインされ、読者を思索の快楽へと誘う。世界でも選ばれた人にしか書けない稀有な本」
◎なかにし礼氏(直木賞作家・作詞家)が「読み終わったら、西洋と東洋の哲学と宗教の大河を怒濤とともに下ったような快い疲労感が残る。世界に初めて登場した名著である」
◎大手書店員が「百年残る王道の一冊」と評した究極の一冊
だがこの本、A5判ハードカバー、468ページ、2400円+税という近年稀に見るスケールの本で、巷では「鈍器本」といわれている。“現代の知の巨人”に、本書を抜粋しながら、哲学と宗教のツボについて語ってもらおう。
ツァラトゥストラとは?
19世紀後半のドイツの哲学者ニーチェに、『ツァラトゥストラはこう言った』という著書があります。
ニーチェの哲学の重大な命題である「永劫回帰」の思想が語られています。
ツァラトゥストラとは、ザラスシュトラのドイツ語読みです。
しかし、この本に語られている内容は、ザラスシュトラの言葉とはほとんど関係がありません。
ニーチェは善悪二元論の元祖ともいうべき高名なザラスシュトラの名前を借りて自分の考えを語ったものと考えられています。
もちろん、ニーチェがゾロアスター教の教典である『アヴェスター』についても学び、霊感に近いものを感じ取ったことがあったのかもしれません。
しかし、彼の説く「永劫回帰」の哲学は、むしろインドのバラモン教の聖典、『リグ・ヴェーダ(神への讃歌)』などを参考にしているのではないでしょうか。
そこにはインドの先住民が持っていた、輪廻転生(りんねてんしょう)の思想が含まれているからです。
それは円環する時間の発想で、時間も人の命も永遠に回り続けていると考える信仰です。まさに「永劫回帰」です。
以上のことから、『ツァラトゥストラはこう言った』とゾロアスター教は無関係と考えてもいいのではないかと思うのです。
この本では、哲学者、宗教家が熱く生きた3000年を出没年つき系図で紹介しました。
僕は系図が大好きなので、「対立」「友人」などの人間関係マップも盛り込んでみたのでぜひご覧いただけたらと思います。
(本原稿は、11万部突破のロングセラー、出口治明著『哲学と宗教全史』からの抜粋です)