大企業をハックする「社内起業家」とはどんな人か
吉田将英氏(以下吉田):このセッションでは「大企業をハックする『技』公開相談会〜ONE JAPAN書籍発刊記念」と銘打って、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄さんとともに、皆さまから寄せられた具体的な悩みに答える形で、大企業をどうやって動かしていくのか、その実践知をお届けしていきます。入山章栄さん、よろしくお願いいたします。
入山章栄氏(以下入山):皆さま、こんにちは。よろしくお願いします。
吉田:そしてONE JAPANからは、書籍で技を紹介したメンバーから5人、登壇してもらっています。ひとりずつ自己紹介をお願いします。
伊藤康浩氏(以下伊藤):日本郵便の伊藤と申します。ONE JAPANに加盟している「P∞(ピース)」という日本郵便の有志団体の代表も務めています。今の仕事としてはドローンや配送ロボット、自動運転の技術を使って、郵便や宅配の既存事業の変革に取り組んでいます。書籍では「『実演販売』でトップにアプローチ」(p.38)でご紹介いただいています。
遠山梢氏(以下遠山):包装容器、パッケージを作っている東洋製罐グループの遠山と申します。今はシンガポールでフードテックやアグリテックに関する事業共創開発をしておりまして、最近では培養肉のスタートアップ支援をしています。書籍で紹介した技としては「否定しないイノベーション」(p.74)で、創業100年以上の老舗企業の歴史を読み解くところから始めて、スタートアップへの投資を実現した技を紹介しています。
額田純嗣氏(以下額田):三越伊勢丹ホールディングスの額田です。今、僕は本業では経営戦略統括部で、M&Aや資産売却などで既存事業の変革を行うのがメインです。もうひとつは、CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)の代表をやりながら、新規事業をベンチャーと一緒に立ち上げたり、社内で面白い人材に呼びかけて一緒に事業を作ったり、そんなことを行っています。書籍では「社内であっても変わらぬホスピタリティ精神」(p.100)と、「俳優になる」(p.246)、あと「意思決定力を磨く『視点・視野・視座アップデート』」(p.350)で、凸版印刷の坂田さんとNHKの神原さんとともにミドル変革塾について書かせていただいています。
松葉明日華氏(以下松葉):松葉と申します。私は入社からNECで働いているんですけれども、2016年にクロスフィールズの留職プログラムに参加したことをきっかけに、社会課題をビジネスで解決したいと思うようになりました。それ以後、研究所から新規事業開発の部門に異動しまして、事業開発や全社のビジョンメイクというようなことをやっています。書籍では「社内スナック開店!」(p.141)という、おそらくこの本の中で一番簡単でゆるい技を紹介しているので、ぜひ皆さまにも実施していただけたらと思います。
現場発の「超具体論」『大企業ハック大全』の活用法とは?
吉田:このたびONE JAPANで『なぜウチの会社は変われないんだ! と悩んだら読む 大企業ハック大全』という書籍を発刊することになりました。実はこの本の帯に入山さんにコメントをいただいているのですが、せっかくなのでこの本について感じられたことなどを教えていただけますか。
入山:この本、超具体論じゃないですか。僕は学者なので、逆に現場で起きていることを抽象化して示しているわけです。皆さんは具体の世界で生きていて、現実に組織を動かすときって泥臭いことをやったり悩んだりしているわけで、そういう生々しいノウハウが詰まっているという点ですごくいいと思います。
あえて言うと、皆さん実名で書いているじゃないですか。その時点でどこかに遠慮があるんですよ。つまり、実際に自分がいる会社でやっていることを書いているわけだから、本当にえぐい話は書けないはずで。
僕はそれでいいと思っていて、この本をきっかけにみんなで議論すればいいと思うんです。読むだけじゃなくてみんなで集まって、たとえば「この会社はこういうことやってるけど、俺の会社だと実はこういうことやってて」みたいな。そこで外に出せない話をすればいいと思います。
吉田:まさにこの本が、具体をもとに抽象化して、それをまた具体に戻していくという反復横跳びが起こっていくきっかけになればという思いもあります。それでは本編の、大企業に勤めている方から寄せられた相談会に入っていきたいと思います。...