似ているのは見た目だけ
新型「スバルBRZ」と基本的なメカニズムを共有しつつ、独自の乗り味を追求したという「トヨタGR86」。BRZと乗り比べてみると、走るステージが別というくらいに味つけのちがいが際立っていた。まずはGR86の仕上がりをリポートする。
突然の味つけ変更
正式名称に新しくGRブランドを冠することになった新型GR86(以下、86)の量産1号車は、10月21日にスバル本工場をラインオフしたという。これは“双子車”ともいえるBRZから約3カ月遅れたことになる。当然ながら本来は同時発売予定だったから、これは異例のことである。
その理由はいくつかのメディアで報じられているとおりで、開発の最終段階で豊田章男社長じきじきの命により、86の味つけだけが全面的に見直されたからだ。今回の86とBRZの乗り味は当初、電動パワステ制御とダンパー減衰力のみで差別化することになっていた。それは先代=初代の最終型とほぼ同じメニューであり、初代の経験を踏まえつつ、スポーツカーのような車種ではどうしても厳しくなりがちな開発・生産コストを抑制するための方策でもあった。
しかし、新型86はそこから突貫工事のリチューニングが施された。最終的には前後のコイルとスタビライザーのバネレートやダンパー減衰特性はすべてBRZとは別物となり、フロントスタビにいたってはBRZの中空タイプに対して、86は中実に変更。さらに、エンジンのスロットルマップにフロントブレーキパッド(86のみ高ミュー型)、リアトレーリングブッシュ、フロントナックル、リアスタビの支持構造など、その差別化は当初の目論見とは正反対に、多岐にわたることになった。
このうち、フロントナックル(BRZはアルミ、86は鋳鉄)とリアスタビライザー支持構造(BRZは車体直づけ、86はサブフレーム支持)、そしてリアトレーリングブッシュ(BRZより柔らかい)といった部品については、新型86ではあえて先代のものを再登板させている。こういう手法はプラットフォームやサスペンションが先代の改良型だからこそ可能になった裏技的チューニングといっていいが、このあたりは自分の手でいろいろとやりたいマニアの皆さんにも参考になりそうだ。...