カーマニアはお呼びじゃない
先行するダイハツを追撃するべく、スズキが満を持して投入した「ワゴンRスマイル」。背高ノッポな“市街地特化型”の新型軽ワゴンは、どのようなクルマに仕上がっていたのか? 市場の要望に応えて登場したニューモデルの走りに、リポーターが複雑な真情を吐露する。
“約7年ぶりの快挙”の立役者
この2021年10月の通称名別販売台数で、「スズキ・ワゴンR」が約7年ぶりに“軽自動車1位”に返り咲いた。ご想像のとおり、ワゴンRの販売台数にスマイルが上乗せされたのが、その最大の理由だ。さらに現横綱の「ホンダN-BOX」が年末にマイナーチェンジを控えて受注を絞っているらしいことや、それを生産する鈴鹿製作所が大規模な生産調整(この10月の稼働率は通常の約6割)に入っていたことも、追い風になったのは事実だろう。とはいえ、ワゴンRにとってはめでたい。
ご記憶のように“元祖ハイトワゴン”のワゴンRは、4世代15年近くにわたって無敵の売り上げを誇っていた。しかし、2011年末にN-BOXが登場してからは、軽自動車(以下、軽)の主力はスライドドア付きスーパーハイトワゴンに急速に移行することになる。今回より前のワゴンRの月間販売1位は、先代が現役だった時分の2014年12月にまでさかのぼり、2017年2月発売の現行型にいたっては、月間販売1位はこれまで一度もなかったのだ。
しかも、ワゴンRの宿敵「ダイハツ・ムーヴ」の現行型は2014年末発売なのに、ワゴンRはそのムーヴの後塵も拝し続けてきた。その理由も、ご想像のとおり、ムーヴの販売台数に2016年発売の「ムーヴ キャンバス」が含まれるようになったからだ。最近ではムーヴ全体の約6割がキャンバスだという。
たとえば、今年度上半期(2021年4〜9月)の販売台数はムーヴ全体で約4.6万台だから、キャンバスを省いた純ムーヴ(?)の台数は2万台を切る計算になる。対するワゴンRの同期販売台数はスマイルぬきで約2.7万台。純粋な“ムーヴvsワゴンR対決”となれば、今でもやはりワゴンRが優勢なのだ。もっというと、ワゴンRの同期台数は「ホンダN-WGN」や「日産デイズ」のそれも上回っており、“リアスイングドアの軽ハイトワゴン”のくくりなら、ワゴンRは今もトップである。まあ「ハスラー」や「タフト」がさらにその上をいっているのは“時代”というほかないが……。...