唯一無二の存在
電気自動車(EV)専業メーカー・テスラのラインナップに新たに加わったSUV「モデルX」に試乗。特徴的な開き方のリアドアや、過剰ともいえるほどの動力性能など、既存のSUVとはまるで違う価値観のもとにつくられた、その魅力に迫った。
発想の根本からしてちがう
現在のEV技術のレベルでは、ガソリン車やディーゼル車の代替になりそうなEVは「日産リーフ」のサイズがギリギリ……。で、それより車重が重く空気抵抗も大きなEVは、決まったルートを定期的にめぐる商用車のような用途にかぎられる……というのが世間の相場観だろう。昔ながらの普通の自動車メーカーは真面目なので、多くがそう考えている。
ところが、そもそもガソリン車もディーゼル車もつくったことがない新興メーカーのテスラは発想の根本からしてちがう。
EVでEセグメントセダンをつくってしまった「モデルS」にも驚いたが、モデルXはそれをベースにしたSUVである。しかも、3列シートレイアウトが可能で、最大で7人乗り仕様まで用意される。車重も2.2t前後だったモデルSより当然のごとく重く、なんと2.5t弱もある。
このモデルXにしてもモデルSにしても、常識的に考えれば“こんなにデカくて重いEVでまともな航続距離が稼げるのか!?”といいたくなるが、テスラの場合はバッテリーを大量に積むことで、それを単純かつ明快に解決している。
モデルXでは現在「75D」「90D」「100D」「P100D」というグレードが注文できるが、グレード名の数字は純粋に電池の容量を意味する。たとえば、75Dのそれは75kWh、100Dなら100kWhということである。
つまり、テスラはじつに日産リーフ(24〜30kWh)の3倍から4倍以上の電池を積んで、モデルXでは75Dでも満充電あたりの航続距離は最大417km(欧州のNEDC値、以下同)。90Dで最大489km、100Dにいたっては最大565kmをうたうのだ。
もっとも、日本全国で十数カ所用意されている専用の「スーパーチャージャーステーション」での急速充電を例外とすれば、電池容量が大きいぶんだけ、充電にも素直に長い時間がかかるのだが……。...