これならうまくいく
さまざまなクロカンやSUVを取りそろえるジープのなかで、最も都会派とされる「コンパス」。マイナーチェンジされた最新型を走らせてみると、多くのブランドと交わるなかで培われた商品力の高さを感じ取ることができた。
フィアットとのタッグの成果
現行のジープ・コンパスに接して驚くのは、エンジンフードを開けると「2.4L multiair」と赤く大書された、いや、エンボス処理された樹脂製カバーがまっさきに目に飛び込んでくることだ。「マルチエア」とは、言うまでもなくフィアット自慢のバルブコントロール機構のこと。コンパスの2.4リッター直列4気筒は、吸気側バルブの開閉タイミングを油圧で制御するヘッドメカニズムを搭載しているのである。
「クルマの魂はエンジンに宿る」といういささか古ぼけた概念から抜け出せない守旧派としては、「カバーくらい自社ブランドのモノに変えればいいのに」と感じてしまうが、ジープ・クライスラー陣営にはもはやそれだけの気力も残っていない……のではなく、むしろことさら隠す必要もないほど、フィアットとの協力関係がうまくいっているということだろう。コンパクトSUVたる「ジープ・レネゲート」と「フィアット500X」のつくり分けのうまさに舌を巻いたのは、それほど遠い過去のことではない。
初代コンパスのオーナーやオーナーだった方には申し訳ないけれど、2006年に登場した旧型は、いかにも急造された廉価モデルといった趣で、シャシーと上屋のバランスの悪さから、「ジープの着ぐるみをまとったFFハッチか!?」と悪感情を抱いたクルマ好きさえいた。ワタシです。
当時は自動車メーカーの合従連衡が盛んに論じられた時代で、ダイムラー・クライスラー+三菱の企業連合が開発したMKプラットフォームをベースに、ジープからはオンロード寄りのコンパス、よりワイルドな「パトリオット」がリリースされた。喧伝(けんでん)されていたシナジー効果が発揮されたわけだが、両者のキャラクターづけは、あまり実質の伴わない、マーケティング主導のすみ分けといった色合いが強かったように思う。パトリオットはその後日本市場からは姿を消したが、コンパスはトップモデルたる「グランドチェロキー」を模したスタイルを手に入れて、シティー派クロスオーバーの個性を明確にした。...