新時代のグランドツアラー
レースシーンで培った4気筒エンジンと高剛性フレームを、臆することなく味わえる「BMW S1000XR」。意のままに操れるスポーツ性と、ロングツーリングでの快適性を併せ持つ新型は、二輪のツーリングカテゴリーに新しいスタンダードを打ち立ててみせた。
“軽さ”がもたらすポジティブな印象
2015年にデビューした初代S1000XRは、スーパースポーツバイクの「S1000RR」をベースに、アドベンチャーバイクである「GS」シリーズのようなアシの長いサスペンションとアップライトなライディングポジションを組み合わせ、スポーツバイクとアドベンチャーバイクをミックスした“スポーツアドベンチャー”というカテゴリーをつくり上げた。
今回試乗したモデルはその最新型にあたり、2019年モデルでフルチェンジされた新型S1000RRのプラットフォームが使用されている。エンジンについても、ベース車の大きなトピックであった可変バルブタイミング機構「Shiftcam(シフトカム)」こそ搭載されていないが、その他の部分はほぼ共通。さまざまな電子制御デバイスもアップデートされている。もちろん、新型S1000RRに加えられた徹底した軽量化の恩恵も、そのままS1000XRに受け継がれている。具体的にはエンジンで約5kg、フレームやスイングアームで約2kg、その他の装備で約3kgと、前モデルに比べ車体全体で約10kgの計量化を実現しているのだ。
この軽さは、サイドスタンドやセンタースタンドから車体を起こしただけでも感じられる。そしてクラッチをつなぎ走りだした瞬間に、その軽さはさらに強い印象をもたらす。クルマの後ろについて走る混雑した都内の道でも、走る/曲がる/止まるの基本動作がとにかく軽い。しかも、オフロードバイクのような上体を起こした運転姿勢によってライディングの基本動作がとりやすく、また視界が広いことからくる安心感も絶大だ。
「フレックスフレーム」と呼ばれる新型フレームの形状も、軽いという印象に大きく影響している。幅の広い4気筒エンジンを抱えたフレームは、シリンダーブロックの後ろで“くの字”を描くようにグッと細くなり、それがライダーのヒザから足の付け根辺りの、車体とライダーが密着する部分にくる。この車体形状が実現する、ヒザの開きが少ない運転姿勢が、バイクのコントロール性を高め、車体が軽い入力で反応するという好印象につながるのだ。...