さらにシビれるワゴン
ボルボの中核を担うステーションワゴン「V60」のラインナップで、最も高性能な「T8 Twin Engine AWDインスクリプション」に試乗。2リッター直4エンジンにターボとスーパーチャージャー、そして電動モーターを組み合わせた、“全部乗せ”400PSオーバーPHVの走りとは?
往年のボルボワゴンの趣
ボルボと聞いて脊髄反射的にステーションワゴンを思い浮かべるのは、いまや40代後半以降の方々だろうか。かくいう私もそのひとりで、古くは「240」系のステーションワゴンの荷室容量に驚き、後の「740」系の堅牢(けんろう)さと信頼性に心をわしづかみにされ、後継の「850」系と名称変更モデルというべき初代「V70」のスタイリングと実用性の両立に感嘆した。
740系は最後のFRモデルとなったが、本国スウェーデンでは長らくボルボがFR派、航空機製造会社をルーツとした今はなきサーブが設立当時からFF派だったという歴史すら懐かしい。冬季の環境が厳しい北欧スウェーデンでFRとは、そのボルボですらSUVや4WDを展開する今では、にわかには信じられないことだろう。
しかし、当時ボルボは「滑りやすい路面状況下においては後輪駆動のほうがコントロール性に優れる」と主張。「アクセルワークを駆使すれば、それが第2のステアリングホイールになるとボルボも言っている」と教え込まれた超ビギナー(私だ)は「なるほど」と膝をたたいたのだ。もっともボルボがFRでも十分とした理由は他にもあって、気温の低いスウェーデンでは圧雪路の雪がとけにくくスノータイヤでもそこそこグリップが安定し、さらにスパイクタイヤの使用が認められているため、FRでもさほど問題にならなかったのだ。
話を現代に戻せば、ボルボは1991年に登場した850系でFFに宗旨替えし、4WDモデルも積極的に市場投入。爆発的なヒット作となった1999年デビューの2代目V70で、ボルボのFFは誰も疑問を持つことのない定番となった。
先代V60は、スポーツワゴン的フォルムが特徴であり、ボルボが長年こだわり続けてきた、サイドウィンドウにおいてはどの窓よりも荷室部分の窓が大きく長いというセオリーを打ち破ったモデルだった。スタイリッシュであることは認めるものの、かつてのV70の実質的な後継モデルともいえる新型V60のシルエットを見て、FR時代のボルボを知るファンは、私も含め往年のボルボワゴンが戻ってきたと歓迎しているはずである。...