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流行りモノ調査隊
#154
注目のキーワード(更新日:2013/02/25)

流行りモノ調査隊 『牛乳石鹸』

注目の理由
 近年、美容や健康への配慮から、ストレスフリーな商品を求める傾向が高まっているが、特に肌に直接接するスキンケアやボディケア商品ではその傾向が顕著。そんな中、無添加の商品が増えていることで、固形石けんの見直しも進んでいる。固形石けんといえば、“赤箱”と“青箱”の「牛乳石鹸」を思い浮かべる人も多いのでは?実際、固形石けんのシェア1企業であり、創業100年以上の歴史を誇る。その「牛乳石鹸」の工場を見学できるプレスツアーがあるということなので、早速調査に向かった!
今回の調査内容 ・ ・

日本最大級の石けん工場に潜入!

 やってきたのは、大阪市鶴見区にある安田工場。こちらでは、赤箱・青箱で有名な『カウブランド』などの石けんを製造している。こちらの工場は、年間で固形石けんを1億4000万個製造できる能力があり、それは国内で最大規模だという。そして、昨年度の同社の石けんのシェアは1位。つまり、ここは日本一の石けん工場なのだ!!期待が高まる。早速工場に入ってみよう!

 まず目に飛び込んできたのは、赤箱と青箱のパッケージが描かれている工場のドア。なんと、この絵は工場で働いている社員さんが描いたという!かなりの完成度だ。そして、自社商品への愛が感じられる。

 中に入って、まず見せて頂いたのは“釜だき”の工程。こちらの石けんは、すべてこだわりの「釜だき製法(けん化塩析法)」によって作られている。1基につき約25万個の石けんを製造できるという直径4メートルの大釜で、原料を加熱して撹拌するなどの工程を5日間繰り返す。すると、ニートソープという状態になる。それを乾燥させると、チップ状の石けん素地(石けんの原料)が完成。これでやっと、石けんの大本が出来上がるのだ。石けんの製造にこんなに時間がかかるとは思ってもみなかった。もっと時間も手間もかからない「中和法」という作り方もあるが、それだと今のような肌にやさしい石けんにはならないのでは、とのこと。いいものを作ろうと思うと、手間がかかるのだ。

社員さんが描いたという「赤箱」「青箱」のパッケージのイラスト。

社員さんが描いたという
「赤箱」「青箱」のパッケージのイラスト。

この釜で25万個分の石けんの原料を作ることができる。

この釜で25万個分の
石けんの原料を作ることができる。

社員さんがかき混ぜたりしている。

社員さんがかき混ぜたりしている。
 

こういった工程を5日間続ける。かなり手間も時間もかかっている!

こういった工程を5日間続ける。
かなり手間も時間もかかっている!


 続いて、その石けん素地に香料、バターオイル、スクワランを配合し、入念に混ぜ合わせる。それを押出機で練り上げると、長い棒状の石けんになる。この段階では、まだ温かくて柔らかいので、強く押したりねじったりすると変形してしまう。それを金型に入れて成形すると、見たことのある石けんの形になった。石けんはこれで完成だ。

 そして最後に、1個ピロー、1個サック箱、6個箱、ダンボールのケースという順番に梱包。これで出荷の準備は完了!

香料などを混合する機械。

香料などを混合する機械。
 

押出機から出てくると棒状の石けんになっている。

押出機から出てくると
棒状の石けんになっている。

この段階ではかなり柔らかいので、ねじると変形してしまう。

この段階ではかなり柔らかいので、
ねじると変形してしまう。

型打ち機で整形すると、いつも使っている石けんの形に!

型打ち機で整形すると、
いつも使っている石けんの形に!

個包装後。

個包装後。

どんどんと機械で箱詰めされていく。

どんどんと機械で箱詰めされていく。


『牛乳石鹸』の歴史が分かる、歴史資料館に潜入!

 その後は、同じ敷地内にある『牛乳石鹸歴史資料館』へ。こちらには、創業から現在までの歴代商品のパッケージやポスターなどが展示され、100年を超える同社の歴史を振り返ることができる。中には、岡本太郎さんがデザインしたオリジナルバスタオルの原画なんていう、貴重なアイテムも!

入り口には、こんな立派な牛の像が。

入り口には、こんな立派な牛の像が。
 

歴代のパッケージが展示されている。一度だけ、パッケージがピンクになったことがあるそう。

歴代のパッケージが展示されている。一度だけ、
パッケージがピンクになったことがあるそう。

広告で使ったポスターなども展示されている。

広告で使ったポスターなども展示されている。
 

個人的に気になったのは、この箱。……渋い!!

個人的に気になったのは、この箱。
……渋い!!

あの岡本太郎さんが描いたデザインの原画もあった。

あの岡本太郎さんが描いた
デザインの原画もあった。

昔使っていた金型のようだ。

昔使っていた金型のようだ。
 


 実は工場も資料館も、近隣の小学生など一部の人を除いて、基本的には公開されていないそう。ということは、見ることができた隊員はかなりラッキーということか。工程のほとんどは機械化されているのだが、キモとなる釜炊きの部分では、人の手がかなり入っている。この工程に5日間費やすなど手間もかけており、品質への強いこだわりを感じた。また、何より一生懸命働いている工場の人たちの、石けんへの愛情を強く感じた。これは、きっと隊員の身体に対してもやさしくしてくれるに違いない。早速、帰りにドラッグストアで赤箱を探してみようと思う。
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