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ORICON NEWS
SKY-HI『初のソロアルバムが完成!音楽活動面での恩人&影響をうけたアーティストは……?!』
エンターテイメントとして楽しめる耳障りのいいポップな世界観を――
日高実はこのアルバムを制作する前に、ネガティブな出来事やトラブルが積み重なってしまって。正直、それまでの自分はそういったものを抱えながら戦うところにヘタしたらカタルシスみたいなものを感じていたんです(笑)。ネガティブをそのままひっくり返すとポジティブの鍵になるし、絶望とかって目を背けたくなるけど、よく見てみたら、絶望が大きくなればなるほど相対的に希望の種みたいなものがその間に必然的にあるんじゃないかなって。だから、抱え続けるんじゃなくて、ひっくり返したほうがはるかにおもしろいんじゃないかと、自分のなかで転機が訪れたんです。そのころから『TRICKSTER』というタイトルがふわっと浮かんできて、僕が音楽をやる意味とは何かと考えて。アルバムを聴いてもらう時間をリスナーの人からいただくぶん、その人の人生に僕が携わる強い覚悟がないといけないと思ったんです。そして、いろんな肩書きとか前置きとか必要なく、SKY-HIにたどり着いたおかげで人生がネガティブからポジティブにひっくり返ったなと思ってもらえる作品になったらいいなと、“俺が君の絶望を欺くトリックスターになるから”“さぁ、この人生(ゲーム)をひっくり返そう”という大きな構想ができ、そのメッセージをより深く伝えるために、耳から心臓までの距離を極力近くして、純粋にエンターテイメントとして楽しめる全体的に耳障りのいいポップな世界観を心がけました。
――1曲目の「逆転ファンファーレ」は、アルバムの幕開けにふさわしいアッパーチューンで、一気にテンションが上がりました。そして、バリエーション豊かな楽曲群を通して、喜怒哀楽を感じ、紆余曲折を経ながら最終的に前向きに至るという壮大な作品に仕上がっていますが、それだけに制作中の苦労、こだわりも相当あったのではないかと。
日高頭の中でイメージして、それを具現化していくというやり方だったので、制作に取り掛かるまでの期間はいろいろ悩んだりしましたが、1回スポッと出たら一気に出来上がりました。なので、今回は制作にまつわるストレスもなく、ずっとワクワクしてましたね。先ほど転機が訪れたと言ったんですけど、曲作りにしても同様で。作り方を変えてからは、アイディアが湯水のように湧き上がってきましたし、ミュージシャンとしての自信、スタイルが固まって、振り幅を広くしても大丈夫だって思えるようになりました。何よりこのアルバムを手にしてくれるリスナーのことを考えながら、俺の感情を形にするにはどの言葉が最適だろうか……ということだけでなく、伝え方やメロディー、細かい部分にまで意識を張り巡らせていきました。特に「キミサキ」という曲は、リスナーを意識して作った楽曲なんです。
――<最高を上書きするから>という最後のフレーズは、決意表明ともいえる力強さを感じますし、まさに今作をもっとも象徴する言葉だなと。
日高そういっていただけて光栄です。ちょっとアルバムから話がずれちゃうんですけど、最近は普段からできるだけスーツを着るように意識していて。
――「トリックスター」のミュージックビデオ(MV)でも黒のスーツ姿が印象的でしたが、今日はそのままMVの世界から飛び出してきたのかと。
日高今日はそのまま家から飛び出してきました(笑)。27歳、一男性として、覚悟を示すじゃないですが、最近の考えるシリーズの一環で(笑)、大人になるということはどういうことなんだろう〜って。
――考えた末の結論は?
日高大人になろうと思わないと大人になることはできないんじゃないかと。
――意志が必要であると。
日高自分が描く大人のビジョンに追いつくために、まず形を整えることが大事だと思うんです。「形から入る」という言葉はあまりいい解釈はされないですけど、僕はちゃんと形を整えないと内側が伴ってこないんじゃないかと。そのひとつがスーツを着るということで。
いろんなアーティストから影響を受けたり、パワーをもらう
日高結婚式で男の人がタキシードを着るのもそうだと思うし。パーカーにスエットだと意識的にも見た目的にも説得力に欠けてしまうというか(笑)。スーツを着るだけでシャキッと気持ちが引き締められますし、自分が発する言葉に対する責任もより感じますし。結婚式が人生の新たな出発地点であるように、今回のアルバムで僕が誰かの人生をひっくり返そうとしているんだったら、まず自分自身が見た目的にも意識的にも凛としなきゃいけないなって。
――そして、12曲目の「またね」で、<君が見た景色を愛する 君に届くように歌にする>というリリックが最後に描かれていますが、まさにそれはSKY-HIの集約した想いじゃないかと。
日高最後は、俺の信念で締めました。自分が持っている一番の言葉、リスナーに似合う一番の音をこのアルバムで届けたつもりです。
――ところで、SKY-HIの音楽活動面での恩人だったり、この人がいたからこそ今の俺が存在するというアーティストはいますか?
日高昨年クレさん(KREVA)主催の『908 FESTIVAL』に出させていただいて、そのときにアーティシズムを如実に感じました。そういう意味では一番具体的な恩義が強い人だし……道筋をちゃんと作ってきた人だから、すごいリスペクトしてるし、感謝も感じている。RHYMESTERやジブさん(Zeebra)、SKY-HIの名付け親は餓鬼レンジャーだったり……w-inds.のKEITA君や三浦大知、SEKAI NO OWARIのFukase君にしろ、挙げていったらキリがないぐらい音楽という共通点を通してたくさんの方と出会うことができて。いろんな人から影響を受けたり、パワーをもらうこともあるし、そういうことを咀嚼(そしゃく)できるのがSKY-HIのなのかなって。だから、特定の恩師や師匠というよりは、関わったすべてのアーティストに対して言えることなんですよね。
――出会いがあったとしてもSKY-HIの音楽が粗雑なものであったら、自然と去っていかれるでしょうし。こうして多くの音楽仲間が常に周りにいることは、SKY-HIの音楽が同じように相手にも影響力を及ぼしているからじゃないかと。
日高よく友達が多いねって言われるんですけど、会って音楽のことを話さない友達ってほとんどいないですし、お互いがリスナーとして素直にいいなって思えるからこそ、繋がっていられるんですよね。
――まさに今作も、AAAのファンの人やHIP HOPに傾倒している人、洋楽、邦楽の垣根を越えて、様々な人達を繋げる1枚になるんじゃないかと。
日高いろんなドアがあるとは思うんですが、そういう前提ってまったく関係ないと思うんです。俺のことをどんな風にリスナーが見ていても、結局俺のやることは常に最高の音楽を作り続けていくという。そして、各々が抱えているネガティブなものを好転させるきっかけの存在になること。ぜひ騙されたと思ってこのアルバムを一度耳にしてみてください。俺がリスナーの絶望を欺くトリックスターになって、最後まで見事に騙し続けます(笑)。
(文:星野彩乃)
関連リンク
・SKY-HIのプロフィール
・AAAのプロフィールCD売り上げ
・オフィシャルサイト