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“詐欺メイク”、ネガティブな印象にどう向き合う? ポジティブに変換したメーカー側の英断
PROFILE 小川麻衣
スタイリングライフ・ホールディングス BCLカンパニー 商品開発本部 企画2部 課長。『アイホリック』他、メイクコスメの企画・開発を行う。
SNSの発達により、「詐欺メイク」のトレンドが確変!?
しかし現在の「詐欺メイク」は、ただ単純に“盛る”ことだけでなく、全体のバランスを見ながら微調整する“繊細さ”も隠されているように感じられる。「詐欺メイク」のトレンドは、どのように変わってきたのだろうか。
「以前はメイクを上乗せして派手にしていく方向でしたが、今は顔全体の印象を操作する感覚だと思います。それは『中顔面短縮メイク』が一番大きいですが、そこに付随して、目だけでなく、リップやチークの入れ方など全てパーツに影響が出てきています。今は韓国のメイクアップアーティストさんのテクニックが発信されていることや、SNSのトレンドを作っているインフルエンサーの方々の影響もあり、ユーザーの方たちが高度なテクニックのメイクを研究されているなと感じています」(スタイリングライフ・ホールディングス BCLカンパニー 商品開発本部 企画2部 課長 小川麻衣さん/以下同)
「以前と比べて、今は『作り手側が消費者の方の小さなムーブメントをどれだけ早く拾い上げるか』という動きに変わり、さらには消費者の方が発信されることにメーカーがついていくことも少なくない状況です。やはりSNSの発達により、人々の情報の取り方が変わってきていて、メディアから発信される情報以外の影響が大きくなっていると思います。消費者の方々と距離が近いインフルエンサーの方が見せるメイクのビフォーアフターは、私もやってみたい!という気持ちをより高めているように感じます」
「爆誕」「詐欺」、思い切ったワードチョイスで新商品を定着させた戦略
若手プランナーたちが話し合う中で、『涙袋を作る』ことを分かりやすく表現するのに『爆誕』というワードがすごくいいねと盛り上がったんです。社内でも共感してもらいましたし、結果的にすごく惹かれるワードとしてお客様にも受け入れていただきました。『コンシーラーペンシル』は若手プランナーのアイデアから最先端のトレンドに着目したアイテムで、弊社らしいワードのチョイスもあり、お客様に認知いただいた商品だと思います」
「前の商品に代わるインパクトのあるワードをチョイスしようと検討がありました。『詐欺メイク』自体、そこまでネガティブな印象ではなくなっていた時期でしたが、『詐欺』自体は決して良い言葉ではありません。『どう受け入れられるか』との懸念もあったので、社内でも検討を重ね、得意先さんにもご意見をいただきながら最終決定になりました。こちらも発売してみると、やはりワードの分かりやすさという点でお客様に認知されたと思います」
”自然に見える”ことが重要な詐欺メイク、やりすぎに見えないよう細部まで工夫
『描く粘膜ペンシル』は、目の際や下まぶたに描くものですから、より細かい作業になります。手元が安定するように、一般的なものよりも少し筆先が短く、コシのある肌当たりや形状にもこだわりました」
今後の展開については「やはり目元のブランドですので、今後も目元に特化したラインナップの製品を検討しております」という小川さん。「今後のトレンドもしっかりチェックしつつ研究を重ねて、今ユーザーの方がどういうふうにお顔を作っていきたいかということに寄り添った製品開発をしていきたいと思っています」。
文・水野幸則 撮影・小泉賢一郎