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電子コミック20年の歴史、厳しい黎明期に端緒を開いたのは本宮ひろ志『サラリーマン金太郎』だった

「見開きをコマにカットするなんて」、反対よそに地道な手作業

  • 『北斗の拳』(イメージ)

    『北斗の拳』(イメージ)

 一方、出版社の許諾が進まなかった要因の1つは、ケータイの仕様にもあった。

 「電子はまだしも『ケータイのあの小さい画面でマンガが楽しめるわけがない』と思われたようです。実際、ケータイの画面は限られていますから、コミックiではコマを切り分けて1コマずつ見せる方法を取っていました。しかしこれも見開きのマンガをコマにカットすることを理解していただくのには時間がかかりました」(奥田さん)

 もちろん、ただ闇雲にコマをカットしていたわけではない。コミックシーモア内で専門の職人集団が手作業で切り分けた“ケータイマンガ”は、1コマずつでも読みやすさや効果音など作品の醍醐味が存分に味わえるよう工夫されていた。そこに溢れるマンガ愛は読者も感じ取ったはずだ。

 「売上も少しずつ上がるようになり、それと共に出版社さんも少しずつ理解を示してくださるようになりました。小学館の『闇のパープル・アイ』など少女コミックや『北斗の拳』などアニメ化作品の配信も始まり、爆発的に売上が伸びました。この頃からコミックi公式サイトは、iモードやEZwebのランキング1位の常連になり、iモード公式サイト79ヵ月連続1位、EZweb302週連続1位と大きく成長しました」(多田さん)

飛躍的な成長は秘匿性”と”気軽さ”がカギ、最初期は『金瓶梅』『すんドめ』も人気に

 サービス開始2年後には累計5000万ダウンロード、5年後には5億ダウンロードを達成している。それまでなかった電子コミック市場がわずか数年の間に飛躍的に成長した要因には”秘匿性”と”気軽さ”もあったようだ。

 「最初期には『金瓶梅』『すんドめ』『ふたりエッチ』『罪に濡れたふたり』といったセクシャルな要素を含んだ作品が売れていました。紙の本では手に取りづらいけれど、個人所有の端末なら気軽に読める、そうしたニーズとマッチしたところもあったと考えられます。また、それまで主流だった紙のコミック雑誌とは異なり、電子コミックでは、気になった作品を気軽に読めるので、ジャンルの垣根を超えて作品単位で多様なマンガを読めるのも電子コミックがユーザーに歓迎された理由でした」(多田さん)

 やがてデバイスはスマホに変わり、電子コミック市場はさらなる成長を遂げた。画面が大きくなり、表現の自由度も高まったことから、電子コミック発のヒット作も続々誕生している。電子コミックがマンガ文化を壊すどころか、マンガ文化の発展にも寄与することが証明された形だ。今や出版社と電子コミック業界は、共存共栄の道を歩んでいる。その道なき道を開拓したコミックシーモアの功績は大きい。

(文:児玉澄子)

■コミックシーモア(外部サイト) 

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