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“バチ指”を持つ美容師のヘッドスパ動画に反響 「指が気持ち悪い」心ない言葉にもめげずSNSを発信する理由
兄がきっかけで気づいた“バチ指” クラスメイトの言葉に傷つくことも
「『グロテスク』とか『炎上目的で載せている』とか結構言われますけど、僕はずっとこれで生きてきたので。形がちょっと違うというだけで、ここまで人は反応を示すものなんだと驚いたのが率直な感想です」
「障害やコンプレックスでお金稼ぎをするのは最低だ」などと、ときには厳しい意見も寄せられるが、そういったコメントにも吉田さんは動画のなかで真摯に答えている。
「『見た目が気持ち悪い』という誹謗中傷もありますが、それよりもSNSの発信の仕方を指摘されることが多いです。『見た目にインパクトがある動画は苦手な人が多く不快に思う人がいる』などと言われることもありますが、『いろんな人が自由に発信しているのに、なぜそんなことを気にしなければいけないの?』というのが本音です」
「YouTubeではものすごく言われますけど、TikTokとかInstagramで見るとまた違う反応なんです。だから、『ほかの人が言ったら自分も言っていい』という感覚に陥るのは危険だなって感じますね」
吉田さんがバチ指の症状に気づいたのは思春期にちょうど差し掛かった頃。もともと肥厚性皮膚骨膜症という指定難病を持っており、その症状の1つとしてバチ指が表出した。
「兄が中学3年生くらいの頃に、指がおかしいということで病院に行く機会があって、そのときに僕も確認してみたら、兄ほどではないけど、指の形が変わり始めて違和感があることに気づいて…。それが小学生のときでした」
ただ、今になって思い返してみると、小学校の低学年の頃にも異変に気づいたタイミングはあった。
「絵を描く授業で、手のデッサンをする機会があったんです。絵は得意だったんですが、手の絵だけ指の形がうまく描けなかった。自分では違和感に気づいていないんだけど、なんとなく(周りと)形が違うという認識は小さな頃からあった印象です」
同級生の何気ない言葉にショックを受けたこともある。なかでも、中学生のときにクラスメイトの女子が発した「手が綺麗な男の人が好き」という一言は衝撃的だった。
「中学校の高学年くらいまで、自分が気にしていたからこそ、思春期の頃はショックでした。自分が気にしているからこそ、テレビに出てくる有名人の指などもいちいち目について過敏になっていましたね」
「そんなに周りは気にしていない」 開き直ったことで得られたコンプレックスへの価値観
「体に何かしらの特徴があったり、体以外でも特技などがあったりしたほうが、たくさんの人の視界に入ることができる。きっかけが多いという点では、体に特徴があるほうが利点かなと感じることは多いです。あと、全国の病院でも診てくれる先生がなかなかいないレベルの病気なので、同じ病気の人とつながれて、症状の共有や情報交換ができるのもSNSのいいところですね」
今では、ネイルアートを楽しむまでに。バチ指であることを受け入れられるようになったのは、高校生の頃の体験が影響している。
「高校の中盤から後半くらいから、あえて自分から指のことをネタにし始めるようになりました。開き直ったほうが周囲の反応が良かった。それからは「そんなに周りは気にしていないんだ」と思えるようになりました。だからSNSでも指を全面的に生かして、自分の持っている体や武器を最大限に生かそうと思いました」