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裏側に喫煙者の本音も…市場縮小のなか新規参入も続々「加熱式たばこ」の可能性とは?
楽天球場で成功した喫煙所を“分ける”試み、加熱式たばこは両者共存に向けた選択肢の一つ
現在は「それぞれの嗜好を尊重しよう」という時代であり、しかも喫煙は違法ではない。冷静に客観的にこの状況を見る非喫煙者の声が増加しており、喫煙者としても、それだけ“譲歩”してもらえるのならば「マナー違反をしてはいけない」と考える人が大半だろう。その証拠として、実際にしっかりと分煙が機能し、喫煙者も非喫煙者も快適に過ごしている場も増えた。
たとえば、東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地『楽天生命パーク宮城』では、従来から喫煙スペースを設けていたが、現在は紙巻たばこ用のほかに加熱式たばこ『プルーム』専用喫煙スペースも設置している。それぞれを分けた背景について、楽天野球団は「においや煙について気にされている方に対しての環境づくりや、非喫煙者に対しても少なからず配慮ができるのではないかとの期待があった」と明かす。実際、加熱式ユーザーからは好評で、「加熱式が増えてきた昨今を考慮すると、加熱式をご利用の方々は紙巻のにおいが気になっていたかもしれません」と、効果を感じている。
一口に喫煙者と言っても、紙巻と加熱式でにおいや煙に差があるだけに、このように“分ける”ことは有効に働く。もちろん、それは喫煙者と非喫煙者を“分ける”ことにも通じる。同球団が語る、「非喫煙者が楽しく観戦できる環境と喫煙者の利便性が共存できるよう、自治体等の指導を仰ぎながら日々改善、検討していきたいと思います」との言葉が示すとおり、正しく分けることが、相反する両者の共存に繋がるのではないだろうか。
加速していく、紙巻たばこから加熱式たばこへの移行。「きちんと分煙され、迷惑にならないならそれでいい」というのが非喫煙者側の“譲歩”だとすれば、加熱式たばこは喫煙者側が両者の共存に向けて踏み出せる、“選択肢の一つ”ともいえる。つまり現在は、互いが不快な思いをしないための歩み寄りを進めている道半ばだ。ならば、両者にとって実現可能な“落としどころ”とは、加熱式たばこがよりシェアを伸ばした時に見えてくるのではないか。そのときこそ、本当に“共存”が可能かどうかの議論が始まるのかもしれない。
(文:衣輪晋一)