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ネットの誹謗中傷は減るのか? 木村花さん死去で加速した侮辱罪厳罰化への動き、母・響子さんと共に戦う弁護士の懸念

ドイツではSNS事業者に68億円が科せられる? 法の規制と教育の重要性

 また、各プロバイダ、SNS事業者の協力も不可欠だ。

 「これらの協力がないことには、個人の特定すら迅速にできません。それだけでなく、SNS事業者が自ら対策をとり、またそれを法で規制することも必要。例えばドイツでは、すでに非常に厳しい対策がSNS事業者にとられていますし、EUでも違法コンテンツの削除等を義務付ける法案を進めています」

 ドイツで、SNSにおける法執行を改善するための法律が制定、運用開始されたのは2018年。違法と思われる投稿の削除、苦情受付サイトの設置などを義務づける「SNS対策法」というものだ。登録者200万人以上の営利的SNS事業者に課せられたこの法では、苦情が寄せられたコンテンツを審査し、明らかに違法なものは削除。また、コンテンツ自体にアクセス制限がかけられる。年間100件以上の苦情報告を受けたSNS事業者は、これをどう処理したかを半年ごとに報告書を作成し公表。これら義務を十分に行ってないと認められた場合は、最高5000万ユーロ(約68億円)が科せられることになる。

 刑罰が軽い、SNS事業者が対策を講じない…その結果、ツイッター社への民間の情報開示請求が2年連続最多という、日本のSNSの暗部がわかるデータも報告されている。

 「厳罰化は抑止力にはつながるとは思いますが、『罰せられるから誹謗中傷はダメ』なのではなく、再犯防止のためにも『SNS上でも人を傷つけるようなことをしてはいけない』という教育が必要です。教育は子どもだけでなく、社会人にも行うべきで、SNS事業者がセミナーなどで啓蒙していくべきでしょう」

 誹謗中傷といっても、悪意がある場合もあれば、自分が正義だと思って投稿する人、はたまた炎上を楽しむ愉快犯のような人もいる。面と向かって人と対するのと同じように、一旦立ち止まり、投稿内容に目を向ける。そうした自制心を持つことが大事だし、それが必要だと知らなければならない。

 「やって良いことと悪いことを知る。自制心を持つ。言葉の先に人がいるということを知る。誹謗中傷の投稿は一瞬でも、被害者はこれを解決するのに1年以上の歳月、また莫大な弁護士費用もかかっています。このような現状を変えるためには、まず皆さん自身が『これは犯罪ではないか』と考えを巡らせることが大事です。法律というのは、これらの先にある。これ以上の加害者・被害者を作らないためにも、私自身も活動を続けていきたいと思います」

(文:衣輪晋一)

<プロフィール>
佐藤大和(さとう・やまと)。レイ法律事務所代表弁護士。2017年に、芸能人の権利を守る団体である「日本エンターテイナーライツ協会」を立ち上げ、共同代表理事を務める。エンタテインメント、芸能法務、マスコミ対応、企業法務、第三者委員会の対応などが得意分野。厚生労働省「過重労働解消のためのセミナー事業」委員。これまで、『バイキング』(フジテレビ系)、『モーニングCROSS』(TOKYO MX)など、メディアにも多数出演。

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