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ORICON NEWS
日南響子『“水”のような存在になりたい』
安心して臨んだ“キレイな世界観を見せる”映画
日南実はこの作品とはすごく運命的に出会ったんです。出演が決まったタイミングが、偶然にも花魁や遊女の歌詞を書きたくて『桜姫東文章』(本作の原案)について調べていた時期で。誰にも話していなかったので、「行動をのぞかれていたの!?」と思ってしまうほどビックリしました(笑)。京都の本格的なセットで撮影しましたが、昔の家具や道具が再現された空間は、本当に感動的でしたね。そこにいるだけで幸せな気持ちでいっぱいでした。
──桜姫の役は、濡れ場があることでも話題になっています。ご自身ではそういうシーンをどうとらえてますか?
日南あくまで物語のなかのワンシーンだととらえてます。ひとつでも欠けると、話の筋が変わっちゃう。今回の作品は“キレイな世界観を見せる”ということもひとつのテーマだったんですけど、それも充分理解していたので、安心して臨めました。だからもちろん、抵抗感なんてなかったです。
──まさに“キレイな世界観”という言葉通り、色っぽさと美しさが堪能できる場面だと感じました。作品全体にいえることですが、色彩美もとても印象的でした。
日南そうですよね。私、色彩の勉強をしているんですけど、今回の現場はそういう意味でもとても学ぶことが多かったです。
──色彩の勉強ですか?
日南絵やデザインが好きなんです。自分でできる範囲ですけど、たまに洋服や小物を作ったりしています。そういうものを作るときは、色彩の知識が重要です。よく色鉛筆で「この色同士は合うかな?」なんて考えながら、アイディアを描き出したりしています。常識的には合わないような組み合わせを、あえて試したりするのも楽しいですね。
──日南さんはもともと、そういうアーティスティックな活動にも関心がお有りなんですよね。音楽活動もされているとか。
日南最近、作曲までできるようになりました!まだ編曲は無理なので、ドラムとメロディを打ち込む程度なんですけど、曲を作ることは大好き。創作することが好きな性分なのかもしれないですね(笑)。
“裏”の顔が現れたときのギャップを感じてほしい
日南それもあるし、自分の今の気持ちや、女優やモデル業では出せないことを創作活動に反映させている感覚ですね。女優やモデル、グラビアのお仕事が“表”なのだとしたら、創作は“裏”。その“裏”の顔が絵や音楽という形で表に出たときに、ギャップが出ますよね。そういうギャップをいろいろな人に感じてほしいなってよく考えるんです。もちろん“表”のなかでも、それぞれギャップはありますけど。例えば、モデル業で見せるふんわりした雰囲気と、桜姫のような役との差とか。グラビアは自然体に近いかな。それぞれ違う顔が出ていると思うので、その差を感じてもらえたらいいなと思っています。
──ということは、設定や枠を与えられて、それに合せて自分を変幻自在に変えていく作業は好きですか?
日南好きです。とくに女優のお仕事は、自分とは違う人物の人生を味わえるのでおもしろいです。私、女優としては“水”のような存在になりたいと思っているんです。入る器によって形を変えられる水。光を反射させたり屈折させたり、自分の色も変えられる。そういうのが女優としての理想です。だけど、創作活動をする場合は真逆で、“日南響子ここに在り”というか(笑)、やりたいことをストレートに出したいと思っています。
──どうしてギャップを見せたいんですか?
日南何でだろう……何となく(笑)。答えになっていないかもしれないですけど、“みんなが出来ることだけやっていたらダメだな”とよく考えます。与えられたものをこなすだけじゃダメだなって。そういう気持ちが根っこにあるから、自分からいろいろなことに挑戦して、可能性を探っているのかも。できることが多いと強みになりますよね。あと、目の前の仕事のプラスにもなると信じています。
──お話を聞いていると、未知の分野に対してまず肯定的に受け止める性格なのかな、という印象を受けました。ご自身では自分の性格をどう思いますか?
日南だいぶガンコだと思います(笑)。それに加えて、自由な性格かな? 実はこの前、事務所に相談しないで髪をピンクに染めて驚かれたっていうエピソードが……(苦笑)。だから「事前に報告してね」とよく言われます(笑)。
──そうなんですね、意外な一面です(笑)。
日南私、ある程度中味を知ってくれた人からは「変わってるね」とよく言われるんです。ついこの前も、橋本監督と寄生虫の話で盛り上がったりしました(笑)。大半の女の子は寄生虫に詳しくなんかないですよね。別に虫好きというわけではないんですけど、害虫を退治しようと思って方法を調べ出したら深く入り込んで、いつの間にか寄生虫までたどりついて……。
──ひとつ調べ出したら、とことん進んで行っちゃうんですね(笑)。凝り性?
日南そうですね。それがいろいろな面で発揮されます。でも、人に教えてもらうことは苦手なんです。なんだか恥ずかしくて(照笑)。どちらかというと、自分で調べたり勉強するほうが向いていると思います。その方があれこれ考えの幅も広がります。
──自分で道を拓いて行くのが好きなんですね。桜姫の生き方ともどこか重なる部分がありますね。
日南『桜姫』は、もともとはお姫様だった女の子が恋をきっかけに強さを芽生えさせていくお話。まわりに流されないで、自分の意志を曲げずに進んでいくことの素晴らしさを描いています。現代の女の子が観ても、きっと共感したり、勇気をもらえる要素があると思うんです。私と同世代の人はもちろん、幅広い年代の方に観ていただいて、女の強さを感じてもらえたらうれしいです。
(文:奥浜有冴/撮り下ろし写真:逢坂 聡)
映画情報
関連リンク
・艶やかな演技で大胆な濡れ場も…映画予告編
・映画『桜姫』公式サイト