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びっくりドンキーが“モーニング”に注力する理由 「破格ハンバーグセット」で切り開いたファミレスの新境地

 大々的に告知されていないため、あまり知られていないが、ランチやディナーの印象が強いびっくりドンキーが、この頃破格のモーニングメニューを提供している。5年前は都内を中心とした18店舗のみ対象だったが、じわじわと全国に展開を広げ、現在の取扱い店舗は160 を超えた。また、昨年10月にはメニューを拡充し、トーストセットが300円程度、ハンバーグセットは500円程度と、その安さがひそかに話題を呼んでいる。コロナ禍で在宅勤務が進む中、同社がモーニングに注力する理由とは。

コロナ禍で“モーニング”に追い風、深夜客激減で苦境続くファミレス業界の兆しとなるか

 ファミリーレストランと言えば、深夜まで営業しており、友人同士で遅くまでお喋りをしたり、カラオケやパチンコなどで遊んだ帰りに立ち寄ったりしていた人も多かっただろう。

 しかし、働き方改革やコロナ禍の影響で、昨今の人々のライフスタイルは夜型から朝型へシフト。2020年から、ガストやジョナサン、サイゼリヤなど、大手ファミリーレストランも相次いで深夜営業の廃止に。ランチタイムや宅配サービスの拡充に舵を切る企業も多い中、びっくりドンキーは市場が拡大しつつあるモーニングに着目した。

「コロナ禍で深夜の利用が大きく減少しましたが、それ以前の15年ほど前からインターネットゲームなどが普及し、人々の夜の遊び方が変化したことによって、深夜帯の来客数は減少が続いていました。さらに、深夜帯の人員確保が難しくなっていた側面もあり、11時〜深夜2時が標準だった営業時間も8時〜0時(※)に早め、モーニングに注力していく流れとなりました」(びっくりドンキー・商品企画担当・河村征人氏/以下同)
(※)政府や自治体の要請及び各商業施設の運営方針等により、一部店舗では営業時間の短縮及び酒類の販売を休止。

 5年前は客数比率が1%だったモーニングだが、昨年2.5%、今期は4.5%にまで成長。もちろん店舗拡大の影響もあるが、コメダ珈琲の全国展開などにより、市場全体で見ても、ここ5年で外食モーニング需要は110%成長していると言われている。
「弊社では元々20年ほど前から、店舗を限定しておにぎりセットやパンケーキなどをモーニングメニューとして提供していましたが、5年ほど前から”朝活”がブームとなり、『朝食を含め、朝の時間をどう使うか』が重要視されるようになりました。また、コロナ禍でテレワークが増えたことで、朝食を食べながらお仕事をされる方や、資料の整理、テレビ会議をする場としてもご利用いただいている方も多く、モーニングの利用は加速している実感があります」

 とは言え、ランチ、ディナーが主力であることには変わりない。リニューアル後のモーニングメニューは店舗にもよるが、「プレーントーストセット」(トースト、ゆで卵、ドリンク)が330円(※)、「ミニマムバーグディッシュ」(100gハンバーグ、ご飯、サラダ) が520円 と、その安さがSNS上でも反響を呼んでいる。モーニングはランチ・ディナーよりも利益率が2~3%低く、他の時間帯の売上があるからこそ、低価格で上質なモーニングメニューの提供が可能となっているのだ。
(※)価格は税込。価格・取扱いメニューは地域・店舗によって異なる。

“深夜の喋り場”から“お1人様空間”へ… おかわり自由のコーヒーはこだわり自家焙煎

 モーニング拡充前は、びっくりドンキーに朝の需要があるのか確信を持てなかったと言う河村氏。しかし、展開後は予想以上に客数を伸ばし、40~50代の夫婦やシニア層の男性客、お1人様などランチやディナーとは異なる客層に刺さった。モーニングの展開が、同社の新たな認知拡大に繋がればと期待を寄せる。

「お1人でいらっしゃるお客様はモーニング独特の客層なので、びっくりドンキーって1人で行ってもいい店なんだなと思ってくださると嬉しいですね。さらに、モーニングのみおかわり自由なコーヒーは、差別化を図るべくしっかり豆から選び、自社工場で自家焙煎してこだわってご提供しておりますので、コーヒーだけ飲みに来るという利用方法も広がっていくといいなと思っています」

 長引くコロナ禍で外食業界全体の苦境が続く中、モーニングに新たな活路を見出したびっくりドンキー。今後も世の中のニーズを捉えた商品を提供していくことで、お客様との結びつきを強めていきたいと河村氏は語る。
「この数年でモーニング展開店舗を急拡大しましたが、最終的には今期中に全店舗での展開を目指しています。実は今、これまでにない新メニューも開発しています。びっくりドンキーで素敵なモーニングを食べることもイベントごとの1つとして、楽しみにしていただけるようなものを投入していく予定です。原材料と人件費は確実に上がっていく中、朝から素敵な時間を提供できる空間づくりを今後も目指していきたいです」

 ファミリーレストランは近隣の利用者が大半。外出自粛により代わり映えのない日々になってしまいがちな今、遠くにお出かけや豪華なご馳走は難しくても、朝食だけでもいつもと違った場所で非日常体験を味わうという選択肢は今後も広まっていくかもしれない。


(取材・文=鈴木ゆかり)

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