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リモート参拝はアリ? “神社ソムリエ”が見たコロナ禍の神社「疫病が流行ったとき“神棚”がその役割を果たした」

神社ソムリエ 佐々木優太

 1月に『マツコの知らない世界』(TBS系)に出演し、反響を呼んだ“神社ソムリエ”佐々木優太さん。1万社以上を参拝し、神社のご利益から知られざる内情にまで精通した佐々木さんは、全国の神主からの信頼も厚い。コロナ禍において“リモート参拝”なる言葉が生まれたり、お賽銭問題なども取り沙汰された。厳しい現状の中で、人々の生活から離れてしまった神社の変化とは? また、それでも“神頼み”が廃れない理由も聞いた。

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  • 神社ソムリエとして活躍する佐々木優太さん

    神社ソムリエとして活躍する佐々木優太さん

──『マツコの知らない世界』出演後、反響はいかがですか?

 「本当にありがたいことに、Instagramのコメントなどもすごく増え、同時にDMに切実なご相談をいただくようになりました。できる限りお答えしたいのですが、全員にはなかなか難しく、いま模索しているところです」

──神社界にも影響はありましたか?

 「紹介させていただいた神社への反響が、とても大きかったようです。『2022年一番オススメの開運神社』としてご紹介した広島県の『艮(うしとら)』神社は、福山城を守るために建った神社なんですが、普段は地元の人しか集まらないような場所にある。それが今では、いくつも臨時駐車場を作るほどの大盛況だそうで、神主さんに喜んでいただけたのが嬉しかったですね。紹介していない神社の神主さんからも、『神社にスポットが当たったことが嬉しい』という声をすごくたくさんいただきました」

――小さい神社などでは、なかなか注目される機会がないですよね。

 「そうですね。お寺はお坊さんの持ち物であり、修行したお坊さんが人々に仏教を布教します。でも、神社は神主さんの持ち物ではなく、神主さんは人々と神様の取次ぎ役なんです。だから、『個人の考えを、あまり主張してはいけない』とされているそうです。そのため、神主さんは広報活動が苦手とされています。それもあって、神社ソムリエとして活動する僕を、みなさんすごく応援してくれています」

神社=コミュニティセンター? 若者にも参拝が浸透している理由

──佐々木さんは神社ソムリエとして、神社の存在意義や魅力を広く伝える活動をされています。神社は日本人にとって生まれたときから身近にある存在ですが、そもそも私たちが参拝に行く行為にはどういった意味があるのでしょうか。

 「世界中の多くの宗教は、神様と契約を結び、それを破ってはいけないとされています。でも日本の神社は、神様と契約を結ぶ必要はありません。つまり、神社の果たしている役割は、地域のコミュニティセンターなんです。もともとは地域の人たちが、公民館やコンベンションホールのようなものを作ろうと、みんなでお金を出しあって神社を建てた。それを管理・維持する役目として、神主さんがいる。実は、神社とは公共物にすごく近い立ち位置なんです。だから自由に入っていいし、神様と契約を結ぶ場所ではないんですね。お祭りや朝市を開いて、みんなで集まるための場所なんです」

──どれだけ時代を経ても、神社への参拝が若者にも浸透しているのは、そのあたりに理由があるんでしょうか。

 「そうですね。みなさん無意識かもしれませんが、神社に隠された面白さというのはそこにあります。なぜみんなが神社に行くのかというと、公共物だから。自分の学校を掃除するのと、神社で参拝するのは同じ感覚であり、自分を大事にすることと同じだと思うんです。そうやって参拝するものなんだと伝えていくのが、僕の役割なのかなと思っています」

──もっと気軽に行っていいんですね。参拝の際に心得ておくことなどはありますか?

 「『参道の真ん中を通るのは避けましょう』とか、『参拝の前に手を洗いましょう』といったマナーはありますが、そうしなければご利益がないわけではありません。神社は、文化や礼儀作法を伝承する公共の場所なんです。

 そこで行う作法は、神社以外で生かして初めて意味が出てくるもの。仕事で営業先に行ったら、一礼してから会議室に入る。訪問先の廊下の真ん中を堂々と歩いてはいけない…ということです。神社の境内へ入るときに手と口を清めますが、これは現代の手洗いうがいに通じます。そしてこれは、日本人が疫病と闘ってきた証でもあって。そういったことをパブリックスペースで学ぶために神社はあるんです」

コロナ禍の神社の今、「疫病が流行ったとき、“神棚”が究極のリモート参拝だった」

──いま疫病のお話が出ましたが、ここ数年はコロナ禍により、リモート参拝なども話題になりました。

 「コロナ禍になる前は、神社界としてはリモート参拝は200%ナシだったんです。それは今も変わらないんですが、神社でも、感染防止や遠方の人たちにどうアピールするのかを考えていて。その結果、神社界の価値観も少し変わっていったんですよね。以前はお守りや御朱印の郵送を行わなかったのに、郵送を始めた神社もあります」

――そんな変化があるのですね。

 「その昔、疫病が流行ったときに神社という公共の場に行けなくなったからこそ、家の中で拝むための“神棚”ができたんだと、僕は思います。それこそが究極のリモート参拝なわけで、離れたところから拝むのはアリだとは思うんですよね。ただ、僕が気になる部分としては、パソコンから参拝するのでは神社にお金が回らないこと。きちんとお金を納めて神社のお札をもらって来て、自分の家の神棚で毎日拝むくらいがいいんじゃないかと思っています」

──今現在の神社は、佐々木さんから見てどんな状況にありますか?

 「コロナ禍で参拝者が減って大変な思いをされていましたが、僕の知る神主さんたちには、実はもっと前から『今のままではダメだ』という意識がありました。今、ほとんどの方が別の仕事をしながら神主をやっています。お正月に地元の参拝者が来るだけでは、地域の神主さんは食べていけません。

 昔は人々の生活と神社が密着していたので、支え合う関係ができていたけど、今はメリットがないと人が集まりません。そこで、それぞれの神社が七五三などの行事を盛大にしたり、ニーズにあったお守りを作ったりして頑張った結果、コロナ禍でも社入(売上)が落ちたという話はありませんでした。みなさん、頑張っておられます」

──そんな神社を応援するためにも、佐々木さんはこれからどのような活動をしていきたいと思っていますか?

 「神社へ参拝にあがる意味は、その地域の美味しいものをいただいたり、伝統に触れたりする、それを楽しむことでいいんです。電車に乗り、買い物をすることで経済も回る。コロナ禍である令和の時代に何が必要かというと、神社や神様に会うために人が動くことだと僕は思います。そこに行けば、その人なりの発見や出会いが必ずあります。そのお手伝いができるのであれば、僕が見てきたことや聞いてきたこと、時間と体をもっと提供していきたいと思っています」

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