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“3千円”で買った命、どこまで世話できる? 知識不足の飼い主増加…、鳥の保護団体が警鐘「寿命や治療費も調べて」
一人暮らし高齢者でも飼いやすいのか? 意外と知られていない、鳥の平均寿命
「犬と比較して、80代の高齢者でも鳥は気軽に飼えてしまいます。『一人暮らしで寂しいから、鳥だったら水とエサを与えておけばいいだろう』と飼われる方は多くいます」(上中代表理事/以下同)
しかし実際には文鳥で8〜10年、コザクラインコで8〜15年ほどの平均寿命といわれている。「例えば、ジュウシマツは古い飼育本だと平均寿命3年と書かれているものもありますが、当施設で保護している子は13年生きています」
もちろん、個体差や飼育環境でも寿命はかなり変わってくるが、40〜50年生きるヨウムなど犬や猫よりも平均寿命の長い種類も存在する。
「飼育されていた方が亡くなってから、その方が鳥を飼育していることが判明し、警察や親戚の方、不動産の管理人から連絡が入ることも多いです。頻度はその時によって違いますが、先週は約2件こうした連絡がありました。その子たちは健康診断後、施設で現在も保護中です」
1羽3千円で買えるけど…「“お金”と“時間”の覚悟をもってから飼ってほしい」
「人間と同じで、鳥も年を取るとがんにもなるし、白内障、糖尿にもなります。『手術代に20万円掛かるなら、3千円で(新しく)セキセイインコを買った方が安いですね』と言った方もいました。」
「鳥に限らないですが、面倒を見切れないなら飼わないでもらいたい。そして、飼った鳥に何かしてあげられるとしたら“お金”か“時間”しかない、と覚悟をもった上で飼ってもらいたい」と飼い主が心がけるべきことについて、切実な思いを述べた。
“巣=寝床”ではない、SNSで見かける光景に不安も 「安易に繁殖させ、手放す人がいる」
文鳥などの一部の鳥は、一般家庭でも容易に繁殖する。「うちの可愛い子の子どもを見たい」という意図的なケースに加えて、飼育環境への知識不足から鳥かごに巣を用意したために、意図せず繁殖させてしまうケースが存在するという。
一般家庭で飼われる鳥は、親子や兄弟の関係性であることが多い。こうした狭い関係性で繁殖を繰り返すと血が濃くなり、奇形の雛が生まれるリスクも高まる。「片脚がない奇形で生まれた文鳥が、『止まり木に止まれないから飼育できない』と持ち込まれたケースもあります」
ほかにも鳥が日常的に巣を使うことは、健康面のリスクに繋がると指摘する。「人間の感覚で、巣で寝た方が疲れないのではないかと思う方もいますが、鳥は片脚で寝ても疲れない身体の仕組みになっています。かえって巣で寝る事で(止まり木を使う鳥に比べて)足腰が弱まるのも早まり、健康上のリスクは高まります」
一見、気軽に飼育できると勘違いされやすい鳥。しかし飼育を始める前に知識を身につけ、世話に掛かる費用と時間を真剣に考える人が増えれば、飼育途中で放棄するケースも減るだろう。3千円と値付けられた命だから、お金も購入価格と同程度しか掛けられない…という考えで気軽に飼育を始めてもいいのか。今後、ますます飼い主の覚悟が問われるべきだ。