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ORICON NEWS
6つの音色が創り上げるカラフルな2ndアルバム「CITY」 SixTONESがイノベーションを起こす、そのビックバンが起こる寸前の輝きがここに!
SixTONESが“あなた”と過ごす日々を、時間の経過と共に
では皆が手に取りやすい「通常版」を例にとって、この流れを説明していこう。「通常版」はまず「Night」パートから始まる。ジャジーでしっとりしたインタールードを経て、まず飛び出すのが『オリコン週間シングルランキング』(2021/8/23付)で初登場1位を獲得した「マスカラ」だ。これにはテンションが上がらざるを得ず、夜に聴くからこその興奮が一気にほとばしる! その後、本アルバムのリード曲「Rosy」、軽快なCITY POP『フィギュア』へと流れ、「Midnight」パートへ。一気に深夜の街の雑踏の中に我々は放り出され、そして「Odds」や「WHIP THAT」と踊り明かす夜の最高潮を迎える。
そして最も夜の闇が暗いといわれる夜明け前、「Everlasting」で、今度は隣にいる“あなた”と語り合う。これから永遠に続く“あなた”との時間。チルアウトしてこの後、新たに生まれるだろう今日の太陽を待ち、そして何度も同じ朝を迎えられる未来予想図が描かれる。――ここからは「Sunrise」パートだ。朝の支度も楽しくなる爽やかな「8am」で朝日を浴び、「僕が僕じゃないみたいだ」「Ordinary Hero」「Your Best Day」はまるで“あなた”が大切な人のためにコーヒーや紅茶、朝食の準備をしているよう。「Sunset」パートでは80sサウンドの「Fast Lane」が。そして仲間と楽しむピースフルなゴスペル調ハッピーソング「Good Times」で再び夜の興奮が呼び醒まされる──。
彼らが“6人でいてくれること”のありがたさ
筆者も見たが、まず感じたのが「彼らのJr.時代のキーとなる楽曲であった『Amazing!!!!!!』や『JAPONICA STYLE』を初披露した時を彷彿とさせるような“熱量”が入っているな」ということ。そしてSixTONESが“6人でいること”のありがたさだ。揃っての足上げにしても、スパイダーマンのようなジャンプパフォーマンスにしても、6人が6人、非常に個性的で何度見ても新たな発見がある。冒頭の、まるで摩天楼のてっぺんから後ろ向きに飛び降りるような振り付けをはじめとする、スパイダーマンらしいトリッキーな動きが多くある中、それぞれが違う魅力を放つ。ヴィラン的な世界観を作り出しているのが田中樹。いい意味で“治安が悪く”、ダーティーでセクシー。変わらずオラりギラるジェシー、森本慎太郎の指の先まで魅せるパフォーマンス、そして身体能力の権化・高地優吾(「たか」ははしごだか)。光と影の中で一瞬でヒーローにもヴィランにも見える松村北斗。
さらにメンバー2人ずつのユニゾンからの「京本&田中(きょもじゅり)」のハモり。そこから「樹」へ、そして「きょも」が歌い上げ、サビに向かうこの究極の流れは、この6人なくしてはあり得なかった感動だろう。さらにその6人のサビの裏声の色気は、まるで背中を刃物で撫でられているような危険な震えが…。このままリスナーが増殖していけば、まさに“地球が危ない”! パンデミックを起こしかねない中毒性を秘めている。
振付を担当したのは、BTSの『Butter』も担当した世界大会覇者で世界的ダンサー集団のGANMIだ。ダイナミックかつグローバル、さらに北斗の素早く手を振るパフォーマンスをはじめ、いい意味で違和感があり脳に焼き付く振り付けなど、率直に言って「格好いい」であり、これに関しては高地も「僕たちの個性を活かすような振付だったり、SixTONESらしいイメージで作ってくれた。『高地さんらしくアレンジして加えてもいいですよ』と基本のダンス+α崩しの仕方も教えてくれたり。そこでも新しいSixTONESに巡り合えた」とラジオで語っている。
さらに表現の幅を広げたユニット曲 6つの音色が作る“街”を探索する
「真っ赤な嘘」はボカロ・Tik Tokを席巻中の“和ぬか”が楽曲を提供。松村北斗と高地優吾をネガ・ポジにキャラ分けした歌詞の和メロPOPだ。これはMVを見ると曲の世界観がさらに深まる楽曲で、「手の動きだけでこれだけの感情や状況を表せるのか」とも驚かされる。ボカロカルチャーとSixTONESの相性は先に証明されているが、今回もボカロっぽい和メロを高地&松村はナチュラルに歌いこなしており、SixTONESの“多様性”を表すチューンの一つとも言える。
また「With The Flow(Taiga Kyomoto×Juri Tanaka)」は、ギター演奏・京本大我、RAP詞が田中。2人のボーカルとラップが心地よく絡み合う爽やかCITY POPだ。京本と田中を対照的に描きつつも2人の個性が全面に押し出されており、何より京本の歌唱力、田中のラップは「アイドルって何だっけ?」と戸惑ってしまうほどの本格さ。「何を今さら」だが、その“今さら”がやはり重要だと感じるのは、今回の「CITY」は誰が高音か低音か、その明確な担当が歌割からなくなってきていると感じるからだ。SixTONESの6人がそれぞれ、何でもできるオールラウンダーのようになっており、だからといって“均一”ではなく“個性”を失ってないことが、SixTONESの醍醐味だと筆者は感じる。
楽曲の多様さ、あらゆるジャンルが詰まっていた「1ST」。しかし今回はそれに輪をかけて楽曲がボーダレスであり、歌割すらもボーダレスに。つまりそれは、彼の持つ個性から新たなコラボレーションが生まれやすく、それはSixTONESという場所が、さらなるイノベーションを起こしやすくなったことを意味する。6つの音色が作るこの「CITY」は、そういった意味からもダイバー“シティ”(多様性)。我々もこの「CITY」に迷い込んでみよう。誰もが“自分を自分のまま”受け入れてくれる懐の深さが、この“街”にはあるはずだ。
(文/衣輪晋一)