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「世界で勝てない日本作品」現状打破への挑戦、『日本沈没』で見せる“地上波ドラマ”の矜持

(C)TBS

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世界におもねることはしない、「地上波の連ドラの矜持として、その王道で描きたい」

 とはいえ、一つの端末で国内外問わず、すべてのジャンルの作品が観られるということは、“比べられる”ということだ。ユーザーの間では、海外ドラマと比べ、日本のドラマは卑下されることが多い。識者が語ったように、“世界で戦う”作品にしては、日本人だけの内輪向けであり、“日本のドラマ”の範疇は出ない。

 「ただ、世界におもねるように変える必要はないと考えています。以前、私はアメリカドラマ『グッドワイフ』の日本版に携わり、そこから多くを学びつつも、日本のドラマの良さも改めて感じました。それは、感情の描き方が繊細で、丁寧であること。だからこそ、地上波の連ドラの矜持として、その王道で描きたい。多くの人に観てもらえる日曜劇場という枠は、どこに出しても見劣りしないはず。海外でも“日本ドラマ”というジャンルが成立する日が来るよう、突き詰めていきたいのです」。

 世界と日本では、制作のスケール感も違う。何より、スケジュールに追われる日本のドラマでは時間に制約があり、それがクオリティを阻むこともある。例えばCGだ。しかし本作のCG表現はSNS上で概ね好評であり、日本のドラマ特有のチープ感はかなり薄れている。

 「CGは、映画『ピンポン』のクリエイター・曽利文彦さんが代表を務めるOXYBOTに依頼しました。OXYBOTさんもこれまで、“3日後に放送”というような厳しい条件の中で制作をせねばならず、100%の技術を発揮できなかったこともあったでしょう。本作はすでに3月に撮り終わり、CG制作にも多少は時間がかけられた。時間とお金をかけられれば、日本でもそれなりのクオリティを出すことはできるのです」。

 かように、日本の地上波ドラマの矜持を持って臨む本作。劇中では日本は沈没していくが、 “日本のドラマ”が今後、世界で急浮上していく未来を楽しみにしたい。

(文:衣輪晋一)

日曜劇場『日本沈没ー希望のひとー』

TBS系
毎週日曜 午後9時放送中

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