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最古の猫“マヌルネコ”に「一瞬で虜になった」 130万回再生の公式テーマソングで表現した“聴く保全”とは
おとな版『みんなのうた』がコンセプト「マヌルネコと人間が救済し合う架け橋に」
マヌルネコは絶滅の恐れのある希少動物で、まずその存在を知ってもらうだけでも保全へとつながっていくという側面があります。マヌルネコを見ていると癒されて人間は救われるし、人間もマヌルネコを救えるはず。その架け橋となる映像コンテンツとして、“聴く保全”という新しい形を発明したいと思い企画しました。
――YouTubeで公開した「マヌルネコのうた」は130万回再生を突破しており、多くの方に「マヌルネコ」を知ってもらえたのではないでしょうか。
マヌルネコは、元々魅力的なポテンシャルを持っているので、そのベストな引き出し方を考えました。再生回数というのはわかりやすい指標ですが、僕は 「再生時間数も大事にしています。多くの人が最後まで、そして繰り返し“マヌって”くれているようで嬉しいですね。
――視聴者のコメントや反響で印象に残っているものはございますか。
視聴者さんのコメントで「2倍速で見たら変な気持ちになった」というコメントがあり、実際にやってみたら爆笑しました(笑)。
作詞、作曲、映像を同時進行で作り上げていく珍しい作り方をしたのですが、それぞれのプロがみんな僕のゴールイメージを信じてくれて、手間は掛かっているものの、楽しく純度の高いものが作れたと思っています。
――中毒性があると話題になっていますが、曲を作る際にこだわったところや、意識されたポイントを教えてください。
おとな版の「みんなのうた」を作る、というコンセプトを初志貫徹しています。「くせになる」「妙にポップ」「ひょうきん」など用意したキーワードをもとに、音楽Pと夜な夜な打ち合わせを重ねていきました。
――作詞も担当されているそうですが、お気に入りの歌詞はございますか
「最古(サイコ)な猫」というダブルミーニングの歌詞がお気に入りですね。
マヌルネコが自然に動くまで数日間粘って撮影…「人はもう“意外性”にしか興味を持てない」
もう人々は“意外性”にしか興味を持てないからです。世の中のあらゆる面白いコンテンツの構造は、全て「ギャップ」で理解することができます。公式が出す曲調として、最もギャップのある音楽の方向性にすることによって、マヌルネコを知ってもらうチャンスを最大化しようと考え、尖った曲調にしました。そもそも、あれほどユニークな生き物に柔らかい楽曲は似合わないでしょう(笑)。
――このMVを制作するために、マヌルネコの撮影もされたとお聞きしましたが、その際に気を付けたことはございますか。
マヌルネコにストレスを掛ける撮影にしたくないという強いこだわりがありました。一切照明を使ってませんし、気を引くような行動も一切していません。マヌルネコが自然に動いててくれるまで数日間ガラスの前で粘って4Kで撮影し、実はカメラワークも後からつけています。
――一番お気に入りの映像はどの部分でしょうか。
無駄に豪華なCGパートは好きですが、意外とリアクションがなくてちょっと寂しかったですね(笑)。
――MVを見た視聴者に伝えたいことはどんなことですか。
「マヌルネコマジヤバいよねわかる」ということを伝えたいです。
――本作の他にも様々な作品を創造されておりますが、クリエイティブディレクターとして創りたいもの、そして伝えたいことがあれば教えてください。
斬新で、過激で、そしてできる限り古くならない、タイムレスなものを作っていきたいです。
マヌルネコのうた
1991年生まれ。複数企業と共作した異例の卒業制作が話題となり、浅田彰氏、後藤繁雄氏ら著名評論家から突出した高い評価を得る。翌年、クリエイティブディレクターとして日本最年少でCANNES LIONS Health銅賞受賞。その後、TOKYO MIDTOWN AWARDをはじめ国内外の広告賞、デザイン賞を多数受賞。映像を軸にプロダクトデザインから空間演出まで、表現媒体を越え話題作を手掛ける。ブランディング/プロモーション/コンテンツを総合的な視点で捉えた「チャンネルのデザイン」を得意とする。近年の仕事に、東京国立博物館ビジュアル群、六本木アートナイト映像、ゲタサンダル等。ブレーン「いま一緒に仕事をしたいU35クリエイター」選出。カンヌライオンズ主催 YOUNG LIONS COMPETITION (通称ヤングカンヌ)映像部門で金賞を獲得し日本一となる。最新作は「マヌルネコのうた」企画/監督/作詞。
https://twitter.com/shogo_tominaga
作品サイト
https://shogotominaga.com/