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「コロナうつ」に3ヵ月の時差…芸能界にも及んだ自殺の連鎖、止める方法は?
悩み相談の9割は同じ内容、日本人に必要なのは「相談すること」
――発売以来、大きな反響を集めている『ストレスフリー超大全』ですが、本書を発表しようと思われたきっかけは?
「私がやっている悩み解決のYouTubeチャンネルでも、みなさんから寄せられる質問の9割は、ほぼ同じ悩みだったんです。誰もが同じことで悩んでいるのならば、ストレス解消や悩み解決の決定版というものがあれば…というコンセプトで執筆しました。昔、一家に一冊あった、『家庭の医学』のメンタル版を目指したのです」
――そもそも、『樺チャンネル』を始めたのは?
「Facebookでも同じようなことをやっていたのですが、フォロワーのほとんどが40〜50代で、10〜20代がほぼいなかったんです。当然、メンタルケアは若いうちからやっておいた方がいいわけで、若い層にリーチするためにYouTubeを始めました」
――本書では、『樺チャンネル』の中から効果の高い対処法をまとめたということですが、どんな内容なのでしょうか。
「この本のポイントは、“相談すること”です。日本人には『他の人に相談するのは恥』というような文化がありますが、実際に相談してみると、意外と簡単に解決する悩みも多々あるわけです。あとは“ガス抜き”の大切さ。1人で悩むと、どうしても堂々巡りしてしまうんですよ。脳内のキャパシティは限られているので、その悩みを書き出して整理する。アウトプットすることで、自分で悩みを解決することができるということも伝えています」
ストレスを受けてから異常が出るまで3ヵ月の時差、“コロナうつ”は今が危ない
「実は、そういった相談はないんです。なぜかというと、ストレスは自分では認識ができないから。面白いもので、診察で『最近なにかストレスを感じたことはありますか?』と質問すると、ほとんどの患者さんは『ありません』と答えるんです。でもよくよく話を聞いてみると、職場の人間関係の問題などが次々に出てくる。『それが悩みであり、ストレスなのでは?』と聞くと、初めて『そうかもしれない』と認識が始まります。コロナのストレスというのも、遠出できなくて不便だとか、友だちに会いづらいとか、みなさんがなんとなく思っていることはあると思います。ただ、それが今すぐにうつ病になるようなストレスだとは、現状では誰も思っていないのです」
――では、“コロナうつ”というのは有名無実なのでしょうか?
「いえ、“コロナうつ”はこれから出てくるでしょう。実は、ストレスを受けてからメンタルに異常が出てくるまでには、約3ヵ月の“時差”があるんです。セロトニンとノルアドレナリンという脳内物質が低下している状態が“うつ”ですが、そのセロトニンには貯金のような機能があると考えられています。これが低下すると、ノルアドレナリンがそれを補う。両方枯渇するのが、約3ヵ月後という理論です。ですから、その前になにか対処しなければなりません。本書にも書いたように、7時間の睡眠や朝10分の散歩、リズムを意識して咀嚼する、といったことが効果的です」
――自粛生活で人々が大きな不安を抱えていたのが、とくに5〜6月頃。とすると、8月頃から現在は、かなり危ない時期と言えるのでしょうか。今から、その対処法をやっても間に合いますか?
「間に合います。朝散歩をするだけでセロトニンは活性化するので、今日始めれば、その分の効果が出ます。ただし“予備軍”であれば、の話です。健康な状態から予備軍、病気、病後と経過するのですが、病気=うつ病までいくと、通院するしかありません。その手前の“予備軍”であるならば、1週間ぐらいの朝散歩で、かなりの効果が見込めるはずです」