「見出しだけでは全体像が見えない」Twitterの仕様変更 意図しない拡散に公式が警告、その効果は?
米大統領選を考慮、ひと手間は「拡散する前にもう一度考えていただくため」
リンク付きの投稿をリツイートしようとすると、「見出しだけでは全体像が見えないことがあります」、「リツイートする前にTwitterで記事を読むことをおすすめします」との警告が出るようになり、10月20日からはリツイートをしようとすると引用リツイート=コメント付きのリツイートがデフォルトとなる仕様に変更されたのである。つまり、リツイートするにはコメントの入力プロセスという追加のステップが必要となり、気軽にリツイートできなくなった反面、このひと手間により、元のツイートを見直す機会が与えられることになったともいえる(ちなみにコメントの入力画面で何も入力せずにリツイートすれば、今まで通りの“公式リツイート”の扱いとなる)。
こうした引用リツイートのデフォルト仕様に関してユーザー側では、「概ね賛成です」「良アップデートでは?」「大統領選後も続けてほしいです」との肯定的な意見もあれば、「最近リツイートができないなぁと思ったらこういうことね」といった傍観・静観派。また、「ややこしい」「煩わしい」といった否定派までコメントがあふれた。
コロナ禍にトイレットペーパー完売も…“善意”がデマや印象操作、炎上に加担?
記憶に新しいものでは、新型コロナウイルスに関連し、「製造元が中国だから生産がされていないのでは?」といった憶測のツイートから発生したトイレットペーパー不足や、「26〜27℃のお湯でウイルス死滅」といったガセ情報などがある。また2016年の熊本地震では、「うちの近くの動物園からライオン放たれたんだが 熊本」のツイートに添えられたライオンの画像(実際は南アフリカの画像)からデマが拡散、投稿者が逮捕されるという事態となった。
こうしたデマ案件の問題点の一つして、発信源の信ぴょう性の検証よりも「迅速に情報を広めたい」とリツイートしているということがある。ユーザー側は基本的には善意であるにも関わらず、デマ拡散や印象操作、炎上に図らずも加担することになってしまうのである。今回の仕様変更は、こうした構図に公式側が正式に対策を打ったともいえるだろう。
なくならない「釣りタイトル」、問われるWEBメディアの質
例えば、タイトルで興味を持っていざ記事を読んでみたら思っていた方向性と違ったことや、知りたかったことにたどり着けないまま読み終わってしまったことは、誰もが経験したことがあるのではないだろうか。それらの記事の内容が把握されないまま、タイトルだけがSNSで一人歩きする危険性は常にあるし、拡大解釈されたあげく“炎上”すれば、炎上狙いとして批判されたとしても、“炎上したもん勝ち”的な情勢がネット記事にはあるのだ。
もちろん、今では、こうした釣りタイトル的なネット記事に対してユーザーたちも「コメントの切り取り」だったり、「ミスリードさせる」(誤った方向に読ませる)として積極的に批判している流れもある。そうした状況に加え、公式として一石を投じた感のある今回のTwitterの施策は、より読者の目が厳しくなるきっかけと言えるだろう。そして、WEBメディアに携わる側としては、これを機に今一度、発信する記事の質について見直す必要性があるだろう。
Twitter Japan(@TwitterJP)、10月12日のリツイートに関する投稿
アメリカの大統領選挙を前に、誤った情報の拡散を防ぐため、日本時間9日深夜にポリシーと機能の一部に変更を加えると発表いたしました。一部の報道を見て変更点について誤解された方もいらっしゃるようなので、日本の皆さんに関係するポイントをまとめてお伝えいたします。
? Twitter Japan (@TwitterJP) October 11, 2020
10月20日から少なくとも大統領選の投票が行われる週まで、次の変更を行います。
? Twitter Japan (@TwitterJP) October 11, 2020
ツイートを拡散する前にもう一度考えていただくため、リツートよりもご自身のコメントを付加する「引用ツイート」を推奨いたします。この変更により、リツイートしようとすると、まずコメント入力画面が開きます。コメントなしで投稿すると通常のリツイートとなります。 pic.twitter.com/mUoxuXWrYs
? Twitter Japan (@TwitterJP) October 11, 2020
単にRTしたい方にとっては面倒なステップではありますが、当該ツイートが安易に拡散されるよりも、ご自身の見解、それに対する反応など、会話の文脈が理解しやすくなりより有意義なものになることを期待しています。これはブラウザでTwitterをお使いの一部の方向けにすでにテストが始まっています。
? Twitter Japan (@TwitterJP) October 11, 2020
次に、フォローしていない人の「いいね」やフォロー情報がタイムラインに表示されなくなります。これらはご自身のネットワーク外で交わされる関係性の高い情報を知るための機能ですが、「いいね」がしっかりと考慮されたうえでされているとは限らないため、非表示とすることにしました。
? Twitter Japan (@TwitterJP) October 11, 2020
これにより、フォローしていないアカウントやトピックからのツイートに触れるまで、従来より時間を要する可能性があります。これは、より思慮深く明示的な拡散のための価値ある代償であると考えています。
? Twitter Japan (@TwitterJP) October 11, 2020
その他、アメリカ在住で10万人以上のフォロワーを抱える方や影響力のある方による誤情報を含むと警告するラベルがつけられているツイートのRT制限、アメリカにお住まいの方にはトレンドの「For You(おすすめ)」では背景が理解できるツイートが付加されたもののみを表示するといった変更があります。
? Twitter Japan (@TwitterJP) October 11, 2020