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25年出演し続ける男・大倉孝二、“バイプレイヤー”の苦悩語るも「主役願望ない」

“バイプレイヤー”の難しさと“ベテラン俳優”としてのプレッシャー「危機感は毎日ある」

  • ”名バイプレイヤー”として、あらゆる名作に出演してきた大倉孝二

    ”名バイプレイヤー”として、あらゆる名作に出演してきた大倉孝二(C)ORICON NewS inc.

――ターニングポイントとなる作品はありましたか。

大倉映像のお仕事をいただけるきっかけになった作品は『ピンポン』ですね。またその頃、同時に野田秀樹さんや三谷幸喜さんの舞台など、大きな場に呼んでいただけることが増えていました。ただ、ギャラが支払われるのは公演のかなり後なので、「こんなに忙しいんじゃバイト出来ないじゃないか」とくさっていました(笑)。後に入ったギャラで当時の生活費のための借金を返す日々も続き、「俺、何やってんのかな」と(笑)。

――それがいまや、名バイプレイヤーとして引っ張りだこです。

大倉ある作品を見たとき、「あの人、印象に残ったね」と言われる仕事を常にしなければいけないと思っています。本当にいつ仕事がなくなるか分からないので。その危機感は毎日のようにあります。

――主役を立てながらも個性を求められる“バイプレイヤー”としての難しさは感じますか。

大倉印象的な場面がないときは、特に難しいですね。シーンが少なくても印象的であれば戦えるんですけど、そうじゃないお仕事を頂いたときに、下手に印象を作るのはかえって悪目立ちする。普通のシーンで、どうやって漂う印象を残せるか…そういうのは難しいなと思います。
  • これまで170人に及ぶ人物を演じ分けてきた大倉孝二

    これまで170人に及ぶ人物を演じ分けてきた大倉孝二(C)ORICON NewS inc.

――近年、松重豊さん、ムロツヨシさん、滝藤賢一さんら“名バイプレイヤー”と呼ばれてきた方々の主役抜擢が注目されていますが、大倉さんは主役願望はありますか。

大倉全然ないですね。いや、主役をやりたくないって言っているのではなく、自分が演じて楽しめる役を頂けることが僕にとっての一番なんです。だから、主役か主役じゃないかは僕にとって全然重要じゃなくて、そもそも自分が中心になったり、皆を引っ張っていくようなポジションは絶対向いてないと思います(笑)。

――今ではベテラン俳優と呼ばれる立場かと思いますが、そのプレッシャーはありますか。

大倉ありますね。前までは劇団員のノリで、ミスしても「すみません」ぐらいの気持ちでいたんですよ。でも今は、僕が失敗することはない、という雰囲気も感じられます(笑)。それは僕が力をつけたんだという過信ではなく、制作の方々が過去の僕の作品を見て、覚えていてくれて、声をかけてくれているからだと思います。今回の『妖怪シェアハウス』でも年齢が上の方なので、「人の印象に残る」妖怪になれるように頑張りたいと思います(笑)。

 なんとなく舞台の世界に入り、役作りも一切せず、「何においてもこだわりがない」と語る大倉孝二。しかしその言葉の背景には、脚本家や監督のあらゆる要求に忠実に応える柔軟性と、思考ではなく感覚で動く天性の役者としての風格を感じた。

 それは決して言語化できるものではなく、彼自身すべてが無自覚で、感性でやってのけてしまうのであろう。だからこそ、作品の邪魔をすることなく、しっかりと個性を発揮しながら、これまで170以上もの役柄を演じ分けられてきたのだ。

 『妖怪シェアハウス』では、妖怪と人間の同居生活を通して様々なドラマが展開していく。現実離れした設定ではあるが、大倉演じるぬらりひょんがお岩さんや座敷童子たちとどのような掛け合いを見せ、どのような個性や世界観を形成してくれるか、今作も期待したい。


(取材・文/衣輪晋一)
土曜ナイトドラマ「妖怪シェアハウス」(テレビ朝日系)
2020年8月1日(土)スタート
毎週土曜よる11時15分〜12時5分

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