『改正健康増進法』が施行された今、日の目を見始めた「リーサル・ウェポン」

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  『ゼロスタイル・スヌース・抹茶ラテ』

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  『ゼロスタイル・スヌース・梅』

　そんな中、『改正健康増進法』施行に先駆けた2月、JTは無煙たばこ『スヌース』の新フレーバーを発表した。『スヌース』とは、スウェーデンなどでも愛用される嗅ぎたばこの一種で、たばこの葉を包んだポーションと呼ばれる袋を口に含み、唇の裏に挟んで使用するものだ。最初の販売は2013年。これが、『改正健康増進法』施行により日の目を見始めた。新作『ゼロスタイル・スヌース・抹茶ラテ』『ゼロスタイル・スヌース・梅』は、JTのECショップ（CLUB JT）でも好調な売上を見せていると言う。

　これまでも、時代に合わせた商品を模索・開発してきたJTにとって、「リーサル・ウェポンになるかもしれない」という『スヌース』。前述のとおり口に含んで使用するので、煙も灰も出ず、受動喫煙も起こらない。“喫煙の外側”にある商品と位置づけられるため、禁煙となった場所でも周りを気にすることなく使用することができる。開発に携わった主任技師・古越雅之さんによれば「呼気調査を行ったところ、ほぼニオイは感じられない」というだけあり、非喫煙者にも不快な思いをさせない商品のようだ。また喫煙者にとっても、場所を選ばず楽しめる『スヌース』は、非常にありがたい存在となるだろう。

　では、健康への影響はどうか。『スヌース』は口内の粘膜からゆっくりとニコチンを摂取するが、煙が発生しないためにタールはゼロ。紙巻たばこのような、煙を吸い込むことによって発生する健康リスクはないという。「開発段階で食品並みに注意して、有害物質が入らないように作っています」と古越さんは自信を見せる。ちなみにニコチンはなかなかやめられないと言われるが、「実際のところ、アルコールやカフェインよりも依存性が低い」そうだ。

とはいえ、使用方法や使用者の健康状態により、まったく危険がないとは現段階では言いきれないし、日本では新興である『スヌース』だけにデータは揃っていない。だが、これまでのたばこに比べると、色々な意味で自由度が高く、喫煙者・非喫煙者にとって歓迎すべき商品のように思える。

　「スウェーデンでは、かつての紙巻たばこから100年をかけて『スヌース』に移行してきました。日本では規制が厳しく、最近では紙巻でなく加熱式から吸い始める人も多いため、もっと早く『スヌース』が普及していくかもしれません」（荒木さん）

「厳しい規制により逆に多様化」、『スヌース』が互いの溝を解消する架け橋となるか

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  『スヌース』の使用法はパッケージ裏面に

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  他のラインナップ

　いまや全体の2割まで減少し、マイノリティーとなった喫煙者。もちろん、マナーの悪い喫煙者は論外ではあるが、世界的風潮を見れば、マイノリティーとマジョリティーの共存できる世の中を作ろうとする、多様性が重んじられる時代である。喫煙者と非喫煙者にも、そのような未来は訪れるのだろうか。

「紙巻たばこがどこでも吸えた時代から、規制が厳しくなって加熱式たばこが生まれ、そして『スヌース』が生まれました。ユーザーの方の様々なライフスタイルの中で、適切なタイミングで適切な商品を使ってほしいと思い、私たちも開発してきたんです。規制が厳しくなったことで、逆に多様化してきた面もありますね」（黒髪さん）

　「もともとJTが発信していたのは、たばこを吸う方と吸わない方の共存できる社会の実現なのです。たばこは生活必需品ではないかもしれませんが、色々あるからこそ人生は楽しいのではないかと思います。あまりに切り捨てていくと、世の中はわかりやすくなるかもしれませんが、それでは文化がやせ細ってしまう。今の規制をきっかけに、吸う方も吸わない方も、お互いを思いやれる社会になっていってほしいと思います」（荒木さん）

　喫煙者・非喫煙者が共存できる多様性のある社会は理想だ。だがそのためにも、喫煙者がマナーをしっかり守ることは必須。『スヌース』が互いの溝を解消する架け橋となるか。今後の動向を見守りたい。

（文：衣輪晋一）

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