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タレント謝罪対応の是非とは? 炎上対策のプロが語る「謝罪の5原則」が守られないワケ

  • PR・クリエイティブディレクターの三浦崇宏氏

    炎上対策のプロ、PR・クリエイティブディレクターの三浦崇宏氏

 「薬物問題」や「不倫問題」といった芸能スキャンダルが世間を賑わす昨今、事実が明るみになる度に、タレント本人や事務所による対応の“是非”が更なる議論を生み出している。SNSの影響で“炎上”しやすくなった今、果たして事務所やタレントはどういった対応をするべきなのか…。博報堂時代にはマクドナルド異物混入事件を担当、現在は炎上案件における対応策の相談なども数多く受けているPR・クリエイティブディレクターの三浦崇宏氏(The Breakthrough Company GO代表/PR・CreativeDirector)に、炎上の対応策と、広告制作におけるクリエイターの向き合い方を聞いた。

東出昌大のケースは「初動で事務所がかばったことで“悪循環”に」

――昨今、薬物や不倫といった様々なスキャンダル報道が巷に溢れ、SNSが炎上することがとても多くなりました。こうした炎上を防ぐために、タレントや事務所はどのような対応が必要なのでしょうか。

三浦崇宏まず、謝罪会見や謝罪文でとても大事なのは「謝罪の5原則」をしっかり守ることです。これは博報堂時代に教えられたもので、まず1つ目は相手が思っている以上に分かりやすく「深くお詫びする」こと。2つ目は「原因の究明」。なぜこんなことが起きたのかをしっかり説明する。そして3つ目は「経緯の報告」。こういう経緯があってこうなりましたと。4つ目は「今後の対応策を伝える」。そして最後の5つ目は、「それ以外に関することは一切答えない」ということです。まずはこの5つをしっかり守り、膿を全部出し切る。そうすることで、騒動が大きくなることを防げると思います。

――これまでにあったタレントや事務所による“初動”を思い返すと、「謝罪の5原則」を守れていないケースが多いです。

三浦崇宏東出(昌大)さんの場合、問題発覚後にすぐに事務所が対応されたのは良かったのですが、最初のお詫び文で本人を守るような言葉が入っていました。事務所側に少しでもかばう意向があると多くの方は怒り、それをまたテレビなどが報道して騒動が大きくなってしまう。かなり悪循環になってしまったと思います。

――素人考えですが、タレントともなれば周囲にブレーンがいるはず。「謝罪の5原則」が守られていないのはなぜでしょうか。

三浦崇宏こういった問題が起きた時、渦中にいる本人や身近なスタッフは冷静な判断が出来ないことがほとんどなんです。まるで“世界の全てが敵”みたいに思えて周りが全く見えなくなる。なので、こういった時に重要なのは“客観的に判断できる第三者”の意見をしっかり聞くことです。

――確かに「周囲はすべて敵」だと思っている状態では、自分の“炎上”の規模感さえ判断が難しそうですね。

三浦崇宏まずは何をするべきなのか正確に判断することが必要です。炎上がどれくらいの濃度で、そしてそれが今後どれくらい拡散していく可能性があるのか。それを冷静に判断できる視点と、正確な情報が重要です。

――例えば、デマが出回っているケースであればスルーするという判断も?

三浦崇宏仮にネットでデマ情報の被害にあった場合、ボヤを見つけただけで、大火事になっていると錯覚しがちです。対応策としては、そのデマが事実なのかどうかと、情報が載る媒体が世間に信頼されているものであるか見定める必要があります。仮に、ほとんどフォローする人のいない個人ブログから攻撃された場合、著名人が自分のSNSで反論しても逆にデマを拡散してしまうだけです。ただ、ここの見極めは難しい部分なので、まずは身近な関係者に状況を報告し、スルーすることも検討しつつ、対応する場合はスピード感をもって動く必要がありますね。

ネガティブなファクトが世の中に出たら、「火消し」という言葉は“空想の産物”

  • 「言葉にできれば人生は変わる」三浦崇宏氏による話題の著書『言語化力』(SBクリエイティブ)

    「言葉にできれば人生は変わる」三浦崇宏氏による話題の著書『言語化力』(SBクリエイティブ)

――三浦さんの元に、“炎上対応”への相談案件が舞い込むことはありますか?

三浦崇宏以前、日本や海外でも活躍されている超メジャーなアーティストのネガティブな情報が出回っていた時、知り合いを通じてPRの専門家としての自分に連絡が来たんです。「これ以上変な方向で広まると炎上する可能性があるので対応を相談したい」と。夕方に連絡を受けてからスケジュールが合うのが深夜だったので、24時くらいに担当者と、僕が必要だと思った人間に集まってもらい、事務所やレーベルの意向を汲みながら対応策を考えました。そして、そのまますぐ動き出し、数時間後には正確な情報を元に関係各所に対応してもらいました。

――炎上を知ってから1日以内に対策を打ったわけですね。

三浦崇宏ネガティブな情報やデマが世の中に流れる前に、ファクト(事実)にもとづいた正確な情報を先に出すことでネガティブな情報を抑えました。これもスピード感をもって対応できたのが良かったと思います。

――初動の動きが「火消し」に繋がると?

三浦崇宏最近は炎上した際に「火消し」という言葉もよく使われますが、「薬物」「パワハラ」「不倫」など、確かな情報源からネガティブなファクトが世の中に出てしまった場合、「火消し」をすることはできません。そんなことは“空想の産物”といえるレベルで、誰かの圧力で情報を抑えたり、リカバリーできたり、あるいは無かったことにする、なんてことは現代では不可能です。

――では、三浦さんに求められる役割というのは?

三浦崇宏「火消し」は出来ないけど、延焼を止めることはできる。その「火止め」をいかにちゃんとできるのかがこれからはさらに重要になってくると思います。今のSNS時代、デマ情報もたくさん出回るので、情報源をしっかり精査し、信用できない情報なら一切触らないという判断も大事です。そのためには第三者の意見を聞き、炎上の規模、拡散の恐れを冷静に判断し対応していく。そして謝罪会見や謝罪文では「謝罪の5原則」をしっかり守る事が大切ですね。

SNSのバズを“炎上”と名付けた人は罪深い「議論の機会を奪った」

――ここからは、広告案件に関してネット上で“まことしやかに”語られている問題についていくつかお聞きしたいと思います。まず、タレントの不祥事が明るみになった際、“CMの違約金”も話題になります。場合によっては数億単位で違約金が発生するとも言われています。違約金に関しては契約書にしっかりと明記されているのでしょうか。

三浦崇宏「薬物」のような“法律に違反”する事柄に関しては以前から書かれていましたが、不倫スキャンダルなど、「ブランドイメージ」が著しく損なわれる事項に関しても、最近は書かれるようになってきたようですね。

――企業からCMの依頼が来た時、代理店としてタレントのキャスティング提案などもされると思いますが、事前にそのタレントの身辺調査をしたりするのでしょうか。

三浦崇宏いえ、調査はしないです。もちろん噂レベルの情報が入ってきたりするので把握はしていますが、それが最終的な判断になったりはしません。あくまで参考レベルで、基本的に僕らは事務所が出してきてくれる方を信頼していますね。

――三浦さんは「話題の広告」をこれまで数多く手掛けています。バズネタが発生した際、ネット上では「わざと炎上させているんだろ」といった声も聞かれます。実際、企業側があえて“炎上”を狙うことはあるのでしょうか。

三浦崇宏それは絶対ないですね。企業側も“炎上”に関してはかなり慎重になっていますし、そういった依頼を受けることもないです。炎上する広告って、議論できる「主張」や「想い」が無いものなんです。僕らが手掛けた広告が話題になるのは、その広告が「議論のキッカケ」になっているからなんだと思います。

――確かに、炎上してしまうともはや“議論の場”には絶対になりえないような状況です。

三浦崇宏SNSのバズを“炎上”と名付けた人は本当に罪深いと思います。本来なら“議論の場”になるはずだったものが、「炎上している」と言われれば、もはやネガティブな印象しかありません

「話題の広告」には“タブーやぶり”が必要だが、“傷つく人がいる”ことも想定する

――三浦さんはこれまでに議論のキッカケとなる「話題の広告」を手掛けてきましたが、「バズらせる」ために何か意識していることはありますか?

三浦崇宏今はもうみんな広告に飽きている。というのも、どんなCMも見たことがあるものになってしまっているんですよね。そんな中で、自分たちが作った広告を話題にするためには“タブー”をおかさなければいけない。「誰も考えられない凄く尖ったこと」をしなければいけないと思っています。でもただ“タブー”をおかすだけではダメで、“タブー”を破った後に、それによって傷つく人や不快に思う人がいることを想定して、そんな人たちの事もカバーするやり方を同時に考える必要がある。これが逆だとダメなんです。「傷つく人がいるからやめよう」ではなくて、まずは一回、このクライアントのメッセージを社会に届ける為に、どうすればいいかを考える。あえて“タブー”を破ってみて、これによって傷つくかもしれない人たちに対して、しっかりケアをするやり方も同時に考える。ただ尖っただけだと“炎上狙い”になるし、“議論のキッカケ”にもならない。その2つがちゃんとあって「話題の広告」が作れるんだと思います。

――実際、三浦さんが手がけた『SPUR』の広告※も話題になりました。
※モード誌の『SPUR』が創刊30周年の周年企画として渋谷のファッションビル「MAGNET by SHIBUYA109」に、生理用ナプキン7400枚のサンプル付き広告を掲出

三浦崇宏周りからも「炎上するんじゃないか」と言われましたし、広告コピーもかなり慎重に考えました。不快に感じる人や見たくないと思う人もいる中で、この企画を世に出す真意、その過程で生まれた迷いや葛藤を客観的な立場の方に取材してもらいました。『SUPUR』編集長のインタビューにも書かれていましたが、渋谷の街中に堂々と生理用品を掲出することで、色んな方たちに、自分と他者の身体について考えるキッカケを提供したいと。ただ面白いだけではなく、社会に対しての最大限の配慮も必要な時代になってきたと思います。

――昔に比べて、広告は作りづらくなりましたか?

三浦崇宏「作りづらくなった」という人はたくさんいるんですが、それは言っちゃいけないことだと思っています。だってテクノロジーが進化するように、人間のモラルや感覚や正義も時代と共にアップデートされていく。社会のありかたもアップデートされていくのが当たり前だし、それに合わせて広告表現もアップデートされなければいけない。この状況を面白いと思わなければ、良いクリエイターとは言えないですし、世の中を変えることなんてできないと思います。

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