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青山テルマ『そばにいるね』ヒット後は「人間が嫌いになった」個性派キャラ解放できた理由

  • 初エッセイ『人生ブルドーザー』(宝島社)が反響を呼んでいる青山テルマ

    初エッセイ『人生ブルドーザー』(宝島社)が反響を呼んでいる青山テルマ

 歌手・青山テルマが、幼少期から受けていたいじめや「そばにいるね」ヒット後の苦悩などについて語った自身初のエッセイが、発売から5日で重版が決まるなど若い女性を中心に反響を呼んでいる。数年前からバラエティでも活躍するようになり、デビュー当時とは大きく印象が異なる個性を発揮しているが、そこまでは知られざる孤独や葛藤があったという。大学生にしてメガヒットを経験した彼女が見た“どん底”とは。

「ゴリラ」「外国帰れ」幼少期からのいじめ、支え・逃げ道になったのが歌だった

 2007年に歌手デビューしたテルマ。彼女の音楽人生のルーツは、幼少期のいじめにあったという。クォーターであることから、街中で「外人」「ゴリラ」「外国帰れ」といった言葉を浴びせられることは日常茶飯事、保育所でも差別やいじめを受けていた。そんな彼女が初めて居場所を見つけられたのが、10歳の時に出会った教会のゴスペルクラスだった。年齢も見た目も関係なく、ただ歌が好きな人が集まるその場所は、テルマにとってとても居心地が良く、それからどんな時も歌うことが“支え”となり、“逃げ道”となった。

 そんな彼女になぜいじめが起きると思うか尋ねると、「違和感を抱く時じゃないですかね」という答えが返ってきた。その人が普通だと思っていることに対して、見たことがないものや違和感のあるものが飛び込んできた時に、どう対応していいか分からなくて、それがいじめになってしまうのだという。続けて、「でも、それが一生続くわけではないし、人と違うことは大人になってすごく武器になると思うんです。だから“みんなとちょっと違うんだ。ラッキー!”ぐらいのテンションがいいかなって」と、幼少期にコンプレックスだった自分のルーツや見た目も、見事にアーティストとして“武器”に変えた彼女らしい考えを話してくれた。

幼少期から日常的に差別やいじめを受けていたと明かす青山テルマ

幼少期から日常的に差別やいじめを受けていたと明かす青山テルマ

 また、いじめに遭った時は「気にしないことが一番」だと語る。その理由は、いじめる側といじめられる側の“熱量の違い”にあるという。「人ってまず、他人のことをあんまり気にしていないんですよ。SNSに悪口を書いても、次の日にはきっと忘れているんです。それなのに、言われた側はその言葉でずっと傷ついているだなんて、気にしている時間ほど無駄なものはないです」

 では自分をいじめていた人たちに対し今何を思うかと聞くと、「何にも思わない」とのこと。「別に恨んでもいないし、謝ってほしいとかも全く思っていないし…。きっと、そのことによってお互い成長したし、『私の方が彼らより倍成長して強くなれた』ぐらいの感覚です」そう語る彼女から、華奢な体の内に秘める鍛えられた“強さ”が垣間見えた。

ヒット後の孤独とイメージとの葛藤「学校のトイレで1人おにぎりを食べていた」

デビュー当時は”おしとやか”なイメージとの葛藤もあったという青山テルマ

デビュー当時は”おしとやか”なイメージとの葛藤もあったという青山テルマ

 差別やいじめも“気にせず”乗り越え、歌っている時だけは根拠のない自信が全身によぎったというテルマは、がむしゃらに歌手への道を目指した。見事19歳にしてメジャーデビューを果たすと、わずか3ヵ月で「そばにいるね」メガヒットに恵まれる。突如大勢のスタッフに囲まれるようになり、楽屋には豪華なケータリングが並び、ヘリコプターで移動したこともあったそうだ。

 しかし、当時住んでいたのは築100年のボロアパート、通っていた大学では毎日盗撮されるようになり、それを避けるためにトイレでおにぎりを食べる日々だった。華々しいステージとは裏腹、私生活は孤独だったという。さらに猛烈なインパクトとともに植え付けられた世間からのイメージにも悩まされた。

「『そばにいるね』がバラードなので、ちょっとおしとやかで大人っぽいイメージが先行して強かったと思うんです。でも、基本的に私はすごくポジティブで明るい性格だし、笑うことが好きなタイプなので、そのギャップは大きかったかもしれないです」と、イメージを壊しちゃいけない、というプレッシャーとも常に隣り合わせだった当時を振り返る。

 元々踊ることが好きで、アップテンポの曲もシングルで歌いたいという気持ちがあったというが、それを口に出すことはなかった。「まだ20歳で業界のことをあまり知らないですし、自分の意見に自信もなかったし、周りの大人に頼ることが自分の中で正解だと思っていました。ずっと背伸びしている感覚はありました」

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