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「異世界モノか…と思ったら」勇者パーティの最後尾、“名もなき兵士“たちの漫画に反響
■勇者の一番目立たないキャラクターを主人公に…から2万人の最後尾の兵に
ななみね希さんそんな反応でしたっけ……(笑)。全体的にマイナスなコメントが少ない感じがするので、好きな人だけが集まって読んでくれているのかなという印象です。
――斬新な設定がウケていますが、その着想のきっかけを教えてください。
ななみね希さん元々は5〜6人の勇者パーティの中の一番目立たないキャラクターを主人公にしようという平凡な発想だったんですが、もっと主人公を埋もれさせようという話になり、2万の兵のアイデアが上がりました。2万の兵のアイデアは「実際に魔王を倒しに行くなら、大部隊で臨むはず」というシミュレーションの要素も兼ねていますが、では埋もれている兵は、その中でどんな役割を担って、どんなことを思って生きているのだろうかと想像しました。実際に自分がアルバイトをしていた頃の経験や、企業の下っ端として働いてた頃の同僚の態度、修学旅行の班別行動など、大きな組織の中の一員であった頃を思い出して描いています。
本編には「最後尾に情報は降りてこない」「最後尾は他人事のように唱えた」「下っ端兵は各々町民に泊めてもらうルール」など、クスッと笑える説明も出てくるが、よく考えてみると「ゲームの世界でも、最後尾の兵士ってこんなものかも……」と妙に納得させられる部分も。特にロールプレイングゲーム好きの人なら、思わずニヤリとしてしまうだろう。
――作品を読むと、ゲームやファンタジーへの愛が感じられますね。
ななみね希さんNINTENDO 64の『ゼルダの伝説』にハマっていたので、その影響が随所に出ていると思います。ドラゴンクエストやファイナルファンタジーも実際に自分がプレイすることは少なかったですが、幼少期に兄がやっているのをずっと側で見ていたり、攻略本にある設定画が好きでよく見ていました。
■自分一人で何かを実現させる手段が漫画だった、お気に入りは「マーメイド坂46」
ななみね希さん第9話の「マーメイド坂46」です。僕自身、欅坂46のファンで、第9話はその趣味が全面的に出た回になってます。
『さいこうび』は、勇者パーティは劇画タッチ、名もなき兵士たちはコミカルなタッチと描き分けられていて、「それぞれのタッチのギャップがいい!!」と読者からも受け入れられている。特に劇画タッチの評価は高く、ななみねさんの画力の高さも人気の秘密となっているようだ。
――マンガはいつから描き始めましたか? また描き始めた理由を教えてください。
ななみね希さんノートに鉛筆なら小中学生の頃、遊びで描いていましたが、原稿用紙につけペンで、という本格的なものは20代になってからです。元々漫画家になる予定はなくて、自分一人で何かを実現させる手段が漫画しかなかったという感じです。
――マンガを描かれるときのこだわりは?
【ななみね希さん】読んでいる途中で目が変なところで止まったり、意味が分からない部分がないように何度も見返したりはします。あとは面倒なことでも思いついてしまったらやるしかないので、「こんな面倒なこと、やりたくねー!」と思いながらやっています。
――スマホマンガとして連載されていますが、スマホで読まれることで何か意識していることは?
【ななみね希さん】スマホは本より画面が小さいので、自分の漫画では線だけでコマを区切って余白をなくすことにより絵を大きく見せています。ただ最近はギャグ以外のシーンで表現の限界を感じてきているので、場合によって変えています。SNSで求められることがweb漫画でも求められるのかなと思い、漫画に対する固定観念みたいなものはなくして描かないと、とは思っています。
――ユーザーからのコメントでうれしかったものや印象に残っているものは?
ななみね希さん間違いを指摘してくれるのは助かりますね(笑)。皆さんセンスのあるコメントをしてくれるので、楽しませてもらっています。
ーー『さいこうび』はどのような作品にしていきたいですか?
ななみね希さん自分で始めておきながら、どんな漫画なのかよく分からないまま描いてきました。作者として責任を持って、最後までこの漫画と向き合おうと思います。
――今後、描いてみたい作品のジャンルは?
ななみね希さん漫画家になろうと思い立ってから、バトル漫画を描くことがかねてからの夢です。世の少年たちに夢を与えられるような漫画を描きたいと思います。
Information
LINEマンガにて掲載中
『さいこうび』/ななみね希(外部サイト)