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初代ウルトラマンの正体は鞍馬天狗? スーツアクター・古谷敏が演じた“弱さ”と“哀愁”

ファイティングポーズのモデルはジェームズ・ディーン? 「猫背も演技の一つ」

――誰も演じたことがないウルトラマンを演じる難しさはありましたか?
古谷敏金城さんと話して、ウルトラマンは感情を出さないけど、決してロボットじゃないと確認しました。ただ、前例がないし、“古谷ウルトラマン”を作ってくれとも言われましたが、何の情報もない中でイメージを作る難しさはありました。

――ウルトラマンはスラリとした長身ながら、猫背ぎみで手刀を突き出す姿が印象的です。
古谷敏コブシを握らないのは空手スタイルで、その方が良い画になるなと僕は思ったんです。ちなみに、ウルトラマンが最初に構えるポーズは、これはジェームズ・ディーンからきているポーズなんですよ。

――それははじめて聞きました。
古谷敏映画『理由なき反抗』の格闘シーンで、ジェームズ・ディーンの身構えるポーズを見て、いつか自分が映画の主役をやる際はこれをやりたいと思っていました。だから、ウルトラマンの構えに使ったのは、監督の指示でも何でもなく僕の意思でやりました。

――やや猫背に構えるのもあえてですか?
古谷敏子どもに応援してもらうためにはどうしたらいいか考えた時、強すぎてはダメなんです。弱々しいところがないと子どもは応援してくれない。僕が子どもの頃、ヒーローは「鞍馬天狗」だった。映画を見て、鞍馬天狗がやられそうになった時に精一杯声援を送っていたんです。最後はヒーローが勝つけど、その手前までは弱くなきゃいけない。子どもが一緒になって応援できるよう仕向けるのが“演技者”の技量だと思います。

――確かに、ウルトラマンは3分間の戦いの中で苦戦することが多かったです。
古谷敏ウルトラマンには表情がない。だから、顔の角度を変えたりすることで弱っているように見せる。下を向いたり、上を見たり…その角度によって、ウルトラマンの表情は変わってくるんです。それが仮面を通しての演技なんです。ただ、それを掴むまでは1クール(※放送期間を示す単位。約3ヵ月)かかりましたね。

――“弱さ”を演じていたからこそ、ウルトラマンの背中にはどこか哀愁があるんですね。
古谷敏背中をピンと張っていたら子どもは応援してくれない。猫背になったり、肩を落としたりしていると、思わず「頑張れ!」って応援したくなる。猫背は演技の一つとしてわざとやっていました。

「ウルトラマンを降りたい」その決心を変えた、子どもたちの“目の輝き”

――苦労の末、ウルトラマンはスタート時(1966年)から大人気となりました。撮影自体は順風満帆でしたか?
古谷敏いえ、僕自身は撮影でボロボロでした。ウェットスーツ(※ウルトラマンのスーツの素材)とはいえ厚さは数ミリですから、格闘シーンをやれば体中傷だらけです。水がスーツに入って窒息しかけたこともありました。スーツアクターとしての辛さはもう限界に達していて、実は「ウルトラマンを降りたい」ってところまでいったんです。役者として途中で降りるのは忸怩たる思いがありました。でも、これ以上こんな思いをするのは嫌だし、体も限界だったんです。

――そんな舞台裏があったとは意外です。
古谷敏「ウルトラマンを降ります」と言う決心をして、撮影所に向かうバスに乗った日のことです。三軒茶屋を通り過ぎて、吉田松陰を祭る松陰神社前から子ども4人がバスに乗ってきました。子どもたちは僕のすぐそばに座ってウルトラマンの話をしだして、「ウルトラマンは凄い!」「かっこいい!!」って目をキラキラさせて話している。当時、視聴率が良いことは聞いていたけど、僕ら映画俳優は視聴率の意味や重要性が全然分からなかった(笑)。あくまで僕らの価値観は映画の入場者数で判断していましたから。そんな中、子どもたちの生の声を聞いて、ウルトラマンが子どもの夢を育てていると感じられたわけです。

――ウルトラマンが、かつての「鞍馬天狗」のようなヒーローになっていると。
古谷敏ウルトラマンのお披露目会で円谷英二監督は、僕に「ウルトラマンは子どもたちに夢を与える仕事なんだよ」って言ったんです。僕が小さい頃に「鞍馬天狗」というヒーローから夢をもらっていたのと一緒なんですね。

――古谷さんの中にいる「鞍馬天狗」というヒーローと、ウルトラマンが繋がったわけですね。
古谷敏繋がりましたね。子どもたちに「僕がウルトラマンをやってるんだよ」って声をかけようと思ったくらい嬉しかった。子どもが今のウルトラマンや怪獣を楽しんでいるなら、子どもたちの夢を育てるために続けようと。そんな風に心を入れ替えることができたのが、“古谷ウルトラマン”にとっての忘れられないターニングポイントです。

取材協力:円谷プロ
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『ULTRAMAN ARCHIVES』Premium Theaterスペシャルトーク&上映会
開催日:2019年2月16日(土)
内容:『ウルトラQ』「ガラモンの逆襲」上映、ゲストによるトークショー
場所:イオンシネマ板橋
   他イオンシネマ14劇場にてイオンシネマ板橋のライブビューイング
※その他詳細は近日公開

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