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(更新: ORICON NEWS

バラエティ番組におけるテロップの役割に変化 「情報を補う」から「ツッコミ」に

  • 『世界の果てまでイッテQ!』で安室奈美恵と念願の対面を果たし話題となったイモトアヤコ (C)ORICON NewS inc.

    『世界の果てまでイッテQ!』で安室奈美恵と念願の対面を果たし話題となったイモトアヤコ (C)ORICON NewS inc.

 イモトアヤコが安室奈美恵と念願の対面を果たした『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)の平均視聴率が21.5%を記録した。同作が日曜夜の激戦区で安定した視聴率を誇り続ける理由として「キャスティングの妙」や「ドキュメント要素」などが挙げられるが、「テロップの巧みさ」にも理由はあるのではないか。レギュラーの手越祐也への“女性ネタ”、いとうあさこへの“ババアネタ”など、出すタイミングはもちろん、同番組の“ツッコミ力”はバラエティ界随一。他の人気バラエティ『月曜から夜ふかし』(日テレ系)、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)でも“ツッコミテロップ”があり、今のバラエティ番組にはテロップという“相方”が必要不可欠とされているようだ。

バラエティにおけるテロップ いち早く使い始めたのは?

 バラエティにおけるテロップは、『探偵ナイトスクープ』(朝日放送テレビ)や『進め!電波少年』(日テレ系)に由来があると言われている。だが一般に浸透させたという意味では『HEY!HEY!HEY!』(フジテレビ系)の役割も大きいだろう。

 2015年に放送された『ワイドナショー』(フジ系)で、博多大吉が「ダウンタウンさんの『HEY!HEY!HEY!』でテロップが効果的に入れられだしたのが全国的なテロップの最初だと思う」と発言。これに松本人志は、スタッフから相談されて「やってみたら」と話したエピソードを披露。効果として「ミュージシャンの人って、喋り慣れてないから間が悪かったりするのよ。それをテロップで多少、メトロノームじゃないけど、ちょっとテンポ作ってたような気がしないでもない」と解説した。

 メディア研究家の衣輪晋一氏は、「『ガキの使いやあらへんで!』(日テレ系)で、当初はなかったテロップが使用されている現状を見ると、松本さんはテロップの使用に肯定的な人」と解説。「一方で明石家さんまさんは、テロップを使わないこだわりを持つ人。自身のトークの腕があるからこそ、テロップよりもトーク主体のバラエティを目指しているのでしょう。ほかタモリさんやビートたけしさんの番組でもテロップを見かけることはあまりありません。大御所の方々はテロップのない時代から人々を楽しませており、“そんなのなくても楽しい番組を作れる”自信があるのだと思います」と続けた。

強めのツッコミテロップが出せるのは出演者との信頼関係があってこそ

 バラエティのテロップ文化の先駆け『電波少年』の遺伝子を受け継いでいるのが『イッテQ!』だ。プロデューサーは日テレのエース古立義之氏。古立氏は『電波少年』の元スタッフで、その過激さは出演者の扱いやツッコミにしっかりと受け継がれており、例えば手越への「私生活で羽目を外しすぎないこと」といった、危なめ(?)のものから、いとうあさこへの「ババァ ガチで犬に噛まれる」といった、かなり強めのツッコミまで様々。

「こうした強めのツッコミができるのは出演者や事務所との信頼関係もあってこそ。他局の番組製作者からも、『イッテQ!』はテロップやナレーションを入れる間合いと言葉選びが絶妙だと好評価。『電波少年』由来のセンスと、古立氏の才能が見事に融合し、そして進化を遂げています」と衣輪氏。

 このほか『水曜日のダウンタウン』(TBS系)でも多くの“ツッコミテロップ”が。ブレーク中のクロちゃんへの「死ねばいいのに」などの出演者へのツッコミのほか、個性的なキャラで歯のない人に「カバ風の口元」のテロップなど、素人へのツッコミも容赦なし。『月曜から夜ふかし』(日テレ系)も同様で、街頭インタビューに登場した海辺のギャルに「見るからに偏差値が低そうなこの2人」とツッコミテロップを入れるなど、本人たちも気づいてない“どこかおかしな点”にツッコミを入れることで、フェフ姉さんや桐谷さんなど、素人スターが生まれることも多々あった。ときにツッコミが強すぎてマツコ・デラックスが「やめなさいよ〜」とたしなめる場面も目にするほどだ。

能力の高い番組制作陣が増加したことにより「ツッコミ力」もアップ

 バラエティにおけるテロップは、昔の海外コメディドラマやドリフターズのコントのように、笑い声を入れることで「ここで笑って!」と視聴者に訴えかける役割も果たしてきた功績がある。

 「結果、バラエティはテロップだらけになり、“さすがに多すぎる”と視聴者が辟易としました。ですがそれは制作スタッフが、トレンドに乗って、ただただテロップを付けてきたという事情もあったからです。そんな中、前出の古立氏やテレビ朝日の加地倫三氏(※『アメトーーク!』総合演出)のような笑いのセンスを持つ人たちが躍進。さらには、ダウンタウンさんで育った“笑いのセオリーがわかる”スタッフも増えてきた。松本さんのボケを面白わかりやすく“翻訳”するような浜田雅功さんのツッコミのように、昨今のテロップでは起こっている状況を笑いへと昇華する力が備わっています」(衣輪氏)

 報道番組で使用されはじめたと思われるテロップ。そもそもは「今、何のニュースを報道しているのか」を、途中からでも視聴者にもわかるように示すなど、リアルタイムの画面から受け取りきれない情報を「補う」はたらきがあった。衣輪氏いわく“攻めていきたい”“いい意味でふざけてると思われるような面白さを出していきたい”など、クリエイティブの矜持を持ったプロデューサーが増えているとのことで、今後も“素直に笑える”番組にはエッジの効いた“テロップ使い”が重要な要素となるだろう。

(文/中野ナガ)

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