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ハリウッドにも進出、サンライズ宮河社長が語る“ガンダム40年”ファン層の変化

 先日、“ガンダム”がハリウッドで映画化されることが発表された。現在、ガンダムの40周年イヤーとして、NHKの「ガンダム特番」や、スティーブン・スピルバーグ監督の映画『レディ・プレイヤー1』にも登場するなど、さまざまな取り組みを実施してガンダムコンテンツが盛り上がりを見せている。そんな、世界でも類を見ないコンテンツの“機動戦士ガンダム”40年のファン層の変化や今後の取り組みについて、サンライズ代表取締役社長の宮河恭夫氏に話を聞いた。

NHKさんが『ガンダム』を特集するというのは、“文化”になったという証拠

サンライズ社長・宮河氏

サンライズ社長・宮河氏

――NHKで5月に行った『ガンダム大投票』番組は社長自ら動かれたとお聞きしましたが。
宮河社長NHKさんからガンダム大投票の話が持ち上がった時は、やりましょうと二つ返事でした。NHKさんが『ガンダム』を特集するというのは、『ガンダム』が“文化”になったということ。すごくうれしかったですね。

――番組では計174万投票されて、女性票を獲得した『新機動戦記ガンダムW』、『機動戦士ガンダムSEED』、『機動戦士ガンダム00』といった作品が上位にランクインしました。近年のガンダムシリーズは女性ファンを獲得している傾向にありますね。
宮河社長女性票がここまで入るとは思わなかった。NHKかつテレビの特質で40・50代の男性が圧倒的に強いと想像していたんです。『SEED』、『00』の女性ファンは多いけれど、オルガにここまで票が集まるとは。(※キャラクター作品別ランキング1位、キャラクター総合ランキング3位)

――この結果を受けて、今後のガンダムコンテンツの展開に生かそうという考えは?
宮河社長そういう考えはありません。ガンダムは、“こういう傾向が今ウケている”とか、“女性ファンを意識する”とか、トレンドを追いかけることは絶対にしないんです。だからこそ、『SEED』に女性ファンがついたのは我々も驚いたんですよ。

――2002年の『SEED』以降は美形キャラが多数登場しているので、女性ファン獲得を狙った戦略なのかと思っていました。
宮河社長トレンドを追いかけると、“本質”から離れていくんです。僕がガンダムコンテンツで監督にいつも言っているのは、“3つの憲法”を守る事。「戦争状態」「青春群像劇」「ガンダムというロボットが出る」こと。あとは監督と脚本家が、その時代に合わせて作っていくというスタンスです。

――ガンダムの中でも“正史”と言える宇宙世紀シリーズを超える人気の作品が結果としてまだ出てきてない点についてはどうでしょうか?(※作品別ランキング1位『機動戦士ガンダム』、2位『機動戦士Zガンダム』、3位『機動戦士ガンダムSEED』、4位『機動戦士ガンダム00』、5位『機動戦士ガンダム逆襲のシャア』)

宮河社長例えば“年齢の差”じゃないでしょうか。『00』(2008年)より『SEED』(2002年)が上なのは6年の差がある。だから、オルガは人気キャラに入っているけど作品で見ると『鉄血のオルフェンズ』(2015年)は5位までに入ってない。20年後は”ファーストガンダム”が1位ではないかもしれません。

――なるほど。ガンダムは世に出てから人気が熟成するということですね。
宮河社長キャラクターは瞬発力ですが、作品人気は熟成する時間と比例していますね。

『SEED』が転機に、“機動戦士”を冠するのは富野(由悠季)監督作品だけという暗黙の了解は撤廃

  • お台場に展示された、実物大ガンダム立像

    お台場に展示された、実物大ガンダム立像

――40年間のファン層の変遷という点で、新規層の獲得に至ったターニングポイントとなった作品は?
宮河社長やっぱり『SEED』が一番大きかったんじゃないかな。『W』も女性ファンを獲得して人気となりましたが、ビジネスという点で言うと『SEED』が“圧倒的”でターニングポイントと言えると思います。

――以前は、雑誌やグッズ展開していた『SDガンダム』が若年層向けの新しいファンの入り口になっていたと思いますが。
宮河社長現在『SDガンダム』に熱中しているのが大体30代の男性で、子どもの頃に触れていた層が今は支えています。逆に現代の子どもたちは『SDガンダム』を知らないですね。

――では、現在の若年層ファンの獲得戦略は?
宮河社長僕はバンダイにいたときに講談社の「コミックボンボン」の担当をしていたので、『プラモ狂四郎』によって子ども達がプラモデルに熱狂した様子も見ていました。それで、ガンプラの番組を作ろうとなったのが『ガンダムビルドファイターズ』です。子ども向けとなると、戦争や暴力が描けなくなる。そうなるとガンダムじゃなくなってしまう。それだったら“子ども用のガンダム”=ガンプラという発想ですね。

――ではガンダム全体で見た現在のファン育成の方針は?
宮河社長僕がやる前はガンダムの新作は常に1本しか存在してなかったんですが、今は年齢層に合わせて3本くらい同時に走らせています。コアファン向けの『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』があり、『機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ』のようなティーン向けのTVシリーズがあり、親子向けのガンプラアニメ『ビルド』シリーズというように、大まかに3階層で考え、同時進行で展開しています

――たしか『ガンダム Gのレコンギスタ』(2014年〜)の頃から複数作品を展開していましたね。3階層に分ける理由はいかがでしょうか。
宮河社長ガンダムは、40年続きながら新しいシリーズが生まれ続けている、世界でも類を見ないコンテンツです。だからもはやガンダムを全年齢層に発信するのは無謀。40年の歴史があるといろいろな階層に向けてやっていかないと対応できない。過去にあった「3年に1本」とか「“機動戦士”を冠していいのは富野(由悠季)監督作品だけ」というような暗黙の了解みたいなものは僕が撤廃しました。いずれ子どもたちが『ガンダムUC』に興味を持ってくれて、『ガンダムUC』を見ている大人がガンプラアニメが面白そうと興味を持ってもらえたら嬉しい。同時進行することで、年齢を分けた3階層のユーザーが行き来できるようなコンテンツにしていきたいと考えています。

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