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アラサーでも堂々と高校生役、“役年齢”と“実年齢”の差はどこまで許容できる?
ドラマ版『チア☆ダン』(TBS系)にコーチ役で特別出演する広瀬すず (C)oricon ME inc.
近年、実年齢30超えの俳優が高校生役を演じるのは当たり前に
ドラマ『僕たちがやりました』(フジテレビ系)で高校2年生役を演じた窪田正孝 (C)ORICON NewS inc.
しかし、近年のドラマ業界では、実年齢30超えの俳優が高校生役を演じるのは当たり前になっているようだ。アラサー男性で言えば、小栗旬(当時31歳)が映画・ドラマ『信長協奏曲』(フジテレビ系)で高校1年生役を演じたほか、映画『いぬやしき』にも佐藤健(当時28歳)が高校生役で出演し、放送中の連続テレビ小説『半分、青い。』(NHK総合)では高校3年生役も演じている。窪田正孝(当時28歳)もドラマ『僕たちがやりました』(フジテレビ系)で高校2年生役を演じるなど、例をあげればキリがない。女優においても、菊地凛子(当時25歳)が映画『バベル』、山本美月(当時25歳)が映画『ピーチガール』、桐谷美玲(当時25歳)が映画『ヒロイン失格』でそれぞれ“女子高生役”を演じている。
これは、役の年齢をそのままを演じる事ができ、それなりの知名度と実力を兼ね備えた若手役者がいないという事情もあるようだ。制作側の現実的な問題として、安定した集客を見込める役者をキャスティングしたいと思うのは当たり前だろう。かつては「大型新人デビュー!」と銘打った作品もあったが、このご時勢、リスクを取れないのが実情なのではないだろうか。結果的に人気・実力を兼ね備えた広瀬すずや、ある意味“プロの高校生”とも言うべき菅田将暉(25歳)、山崎賢人(23歳)らに役が集中するのは仕方のないことだろう。
ただ、舞台やミュージカルなどでは、役年齢と実年齢の差はそこまで重要視されない。木の実ナナ(当時66歳)が舞台『ミュージカル 女子高生チヨ』で主演の女子高生役を演じたり、還暦を迎えた大竹しのぶが約40年ぶりに舞台『にんじん』で14歳の少年役を演じている。舞台やミュージカルは、ファンタジーとしての要素が強いせいか、見る側も素直に許容できる。逆に、TVや映画などの映像作品ではリアリティーを求められるため、年齢差が大きいと違和感を感じてしまうのかもしれない。
一方では実年齢より上の年齢を演じるパターンは高評価が多い
また、NHKの大河ドラマや連続テレビ小説などでは、青年期から晩年までをひとりの俳優で演じることが多く、『平清盛』では松山ケンイチが実年齢27歳にして、坊主頭で染みや皺だらけの老人役を熱演。女優の場合は、年齢を重ねても女優イメージを損なわない程度に老けるというパターンが多いのも面白いところだろう。
年齢差を利用したコメディ演出 違和感があっても視聴者が“バカ負け”すれば勝ち!?
“変わらない”美少女、安達祐実(36) (C)ORICON NewS inc.
そもそも見た目が“ベビーフェイス”の神木隆之介や千葉雄大のような役者が、高校生役を演じていても違和感はない。一方で、当時48歳の京本政樹が、朝ドラ『ちりとてちん』の回想シーンで、学ランの高校生役も演じ、好評を博した。これは、京本の演技力・衣装・小道具等の美術などすべてがうまくハマることによって、隠しきれない“違和感”を強引な“説得力”で押しきった好例であるとも言える。
結局のところ、高校生役を演じる年齢の上限や、役年齢と実年齢の差の問題は、役者自身の演技力のみならず、視聴者をどれだけ“バカ負け”させるかということにもかかっているのかもしれない。違和感なくすんなりと観ることができればもちろん“勝ち”だが、たとえ違和感があっても視聴者が“バカ負け”してくれれば、それはそれで“勝ち”とも言えるようだ。