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『サイゼリヤ』の間違い探しは、なぜ難解? 大人もモヤるレベルの高さのワケを担当者に直撃

 イタリアンファミリーレストラン「サイゼリヤ」の“間違い探し”がSNSを中心に話題になっている。人気の理由は難易度の高さにあり、「あとひとつが見つからない」「モヤモヤが止まらない」と、嘆く大人が続出。キッズ用メニューの表紙・裏表紙に掲載されている“間違い探し”が、なぜ難解設計となったのか。サイゼリヤの担当者を直撃した。

大人に難解な間違い探し、実は子どもの方が得意!?

 “間違い探し”といえば、幼児教材や知育絵本などの定番題材。小さい頃に親しんだ人も多いだろう。大人にとってはちょっとした“暇つぶし”の一種だが、そんな認識を覆し、「レベル高すぎて40分くらい格闘しましたが、残り1個がどうしても見つけられません」「子供向けだとなめてました」と、SNS上を賑わせているのが、件の“サイゼリヤ間違い探し”だ。

 キッズメニューの表紙・裏表紙に描かれたそれぞれのイラストから、合計10個の間違いを探し出す。人にもよるが、6個前後は比較的すぐに見つけることが可能。だが、その後が続かない。思わぬ部分に間違いが潜み、設問の巧みさに膝を打つ。

 実はこの設問、クイズ作家ではなくサイゼリヤ社員が考案しているというから驚きだ。難しく感じるのは、店のメニュー表のため、見つけた間違いにマルなどの印をつけられず、イラスト全体を目で追い続ける必要があるからかもしれないという。
「確かに、見つけやすいネタを7、8個、残りは少し難しいネタを入れていますが、設問が決まった後に社内検証し、大人が15分で解けるレベルを想定しています。お子さまのほうが早く答えを見つけることも多いんですよ。出題者の狙いなどの先入観がないからかもしれませんね」(サイゼリヤ変革推進部部長・内村さやかさん、以下同)

 “イラストが複雑になっている部分が怪しい”などと下手な勘ぐりをせず、純粋な目で見比べるのが、解答のコツのようだ。

客からのクレームで一時ストップ!? 発案者はサイゼリヤの現社長

 この間違い探しが誕生したのは2005年。意外なきっかけから生まれたという。2000年代に入るまで、サイゼリヤにはキッズメニューがなかった。料理を通して、イタリアの食文化も伝えたいと考える同店では、イタリアの“子どもも大人と同じものを食べ、味を覚える”という習慣に倣い、あえてお子さまランチを作らなかった。

 だが、ちょうどその頃、多店舗展開が始まり、ロードサイドへの出店も拡大。その中心となる客はファミリー層だった。ファミリーレストランとしてのニーズが高まり、キッズメニュー誕生となった。子どもにも本物の味を食べてほしいという願いから、その内容はかなり異色だったという。
「当時は珍しかったモッツァレラチーズやペコリーノチーズ、モルタデッラというハムも使った本格的なキッズプレートを作りました。その頃の社員がワインのおつまみとして食べていたほど“前菜盛り合わせ”なプレートで、子ども向けではなかったですね(笑)」

 案の定、キッズプレートは手間とコストがかかる割には売り上げが伸びず、しばらくしてハンバーグを中心としたメニューへの変更が決まった。新たなメニュー表が必要となり、このとき、間違い探しが誕生した。

「改めて食材への思いや食育につながる知識など、私たちのポリシーをメニュー表紙に込めて伝えようと考えました。さらに楽しんでいただける要素も盛り込もうということで、現社長(当時は商品企画部長)の堀埜一成(ほりの・いっせい)を中心に企画し、間違い探しを採用しました」
 2006年の過去作品を見ると、サイゼリヤのイタリア食材、おいしいごはんができるまで、おいしいやさいが届くまで、といったテーマがイラストに設けられ、食育を強く意識していたことが分かる。登場以来、ジワジワと人気を集め、「毎回楽しみにしている」という声が寄せられるようになったというが、2007年12月版で一時、更新がストップ。2012年12月版から再開する。

「当時の社長(現正垣会長)のもとに、昔馴染みのお客さまから『料理を食べ終わっても間違いが見つからない!』というクレームが寄せられまして……(笑)。料理を楽しんでいただくことが第一ですので、そこで休止したのですが、間違い探しの発案者である堀埜一成が社長に就任したときに復活することを決め、現在まで続いています」

難解でも回転率に影響なし! “間違い探し”に込められた企業理念

 食育のために始まったサイゼリヤの試み。間違い探しに夢中になるあまり、回転率の低下なども懸念されるが、経営戦略的には「問題がない」という。

「間違い探しをやらなくても、ゆっくり過ごす方は多いですし、回転率には影響しないと考えています。食事は料理だけでなく、その場を楽しむことも大事だと考えています。イタリア語で『La Bouna Tavola(ラ ヴォーナ ターヴォラ).』といい、私たちがお客様に体験していただきたい、豊かな食事体験のことをいいます。間違い探しはこれを補助するツールとして、テーブル内で盛り上がっていただければ」
 店内での滞在時間が延びることによる客単価向上の狙いもない。それよりも来店の動機につながることを期待している。

 この7月には書籍化も決定し、改めてその注目度の高さを感じるが、「本体価格599円です。店のメニューに合わせて、本の価格も安くしたいという出版社の意向で」と内村さん。過去問題に新作3つを加えた同書籍は、一部店舗で、待ち時間に読めるように置くことも考えているという。創業以来、低価格提供を貫くサイゼリヤ。単に安いだけでは、消費者の支持を得られない。キッズ向け間違い探しにも込められた『La Bouna Tavola』の精神が、消費者に支持される大きな要因となっている。
INFORMATION
『サイゼリヤのまちがいさがし』
7月13日発売
新星出版社/本体価格599円/税込価格647円

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