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【2018年 上半期本ランキング】 『君たちはどう生きるか』総合TOP5に2作 人気漫画・作家の記録更新も相次ぐ

『第11回オリコン上半期“本”ランキング2018』が確定した。81年前に出版された歴史的名著のコミカライズ作品『漫画版 君たちはどう生きるか』が上半期史上最高の133.8万部を記録し1位を獲得。同時発売された新装版は5位、岩波文庫は文庫部門4位にランクインするなど支持が集まった。手塚治虫文化賞短編賞を受賞したカラテカ・矢部太郎の『大家さんと僕』は15位(タレント本部門1位)に登場。またジャンル別でも、コミック単巻部門で『ONE PIECE』が10年連続1位、文庫部門作家別で東野圭吾が通算6度目の1位に輝くなど、記録更新が相次いだ。
<<総合ランキング表>>
◆BOOK  1位〜25位26位〜50位 ◆作家別 1位〜10位
◆コミック 1位〜25位26位〜50位 ◆作品別 1位〜10位
◆文庫   1位〜25位26位〜50位 ◆作家別 1位〜10位
<<ジャンル別ランキング表>>
◆ライトノベル作品別 1位〜10位  ◆ビジネス書 1位〜10位
◆文芸(小説) 1位〜10位  ◆ライトノベル 1位〜10位
◆タレント本 1位〜10位  ◆写真集 1位〜10位

時代を越えて現代人に問いかける名著『君たちはどう生きるか』

 SNSを介して人の心が動き、ひいては行政をも動かす、というネット時代における“拡散の威力”について改めて考えさせられることの多かった2018年上半期。本の分野においても、ひとつのメディアがきっかけとなって人々を動かし、ベストセラー誕生へとつながる顕著な例が見られた。それが、上半期1位となった『漫画 君たちはどう生きるか』だ。

 2017年の年間ランキングでも29位(推定売上251,984部)にランクインしていた同書だが、その5倍以上の1,337,554という部数をこの半年だけで売り上げ、書籍ジャンルでは過去に類を見ない特大ヒットとなった。くわえて、その人気は原著でもある『君たちはどう生きるか』にも波及。漫画版と同じマガジンハウスから刊行された単行本がBOOKランキングの5位(推定売上338,581部)に、岩波書店から発売されている文庫が文庫ランキングの4位(同217,866部)とそろってTOP5入りを果たし、3形態の合計売上は約190万部におよび、年間での200万部超えは確実なものと思われる。

 漫画版が刊行された昨年来話題を呼んでいた『君たちはどう生きるか』、もともと高い評価を受けた歴史的名著ではあるが、今から81年前の1937年に上梓されたこの本がなぜここにきてこれほどまでにブレイクしたのか。そのカギを握っていたのが日本テレビ系の『世界一受けたい授業』だ。この番組の中で同書は17年10月21日、18年1月27日の2回にわたって紹介されている。これによって、セールスに拍車がかかったことは間違いないだろう。三四半世紀(75年)以上前の作品ではあるものの、漫画という親しみやすいスタイルで世に送り出されたこと、将来への不安が渦巻く現代に“刺さる”キャッチーなタイトル、そして人気番組で2度にわたって注目された話題性の高さ、これらが相まって今年上半期の一大ムーブメントは生み出された。

笑いの世界の“ヒットメーカー” 又吉、キンコン西野、今年はカラテカ矢部

 メディアで紹介された作品が売れるという近年の方程式は、“作品選びに悩む現代人”の姿を浮き彫りにしているとも言えるが、メディアで取り上げられる頻度で言えば、「本屋大賞」をはじめとする様々な文学賞の受賞作がその最たるものかもしれない。今期のランキングにおいても、第158回芥川賞の若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』(9位)、2018年本屋大賞の辻村深月『かがみの孤城』(12位)が受賞作の貫録を見せつけるかのように上位に飛び込んできた。

 そんななか異彩を放ったのが、15位にランクされた矢部太郎『大家さんと僕』。お笑いコンビ・カラテカのボケ担当としてバラエティ番組で活躍している筆者が、間借りしている住居の大家さんである老婦人との間の交流を描き、第22回「手塚治虫文化賞短編賞」を受賞した、実話をもとにしたコミックエッセイだ。「マンガ文化の健全な発展」を目的に、優れたマンガ単行本に贈られる同賞にマンガ家以外の人物の作品が選ばれたのは初の快挙だという。麒麟の田村裕をはじめ、近年ではピースの又吉直樹、キングコングの西野亮廣などお笑いコンビとしても活躍する芸人が出版の世界で才能を輝かすケースが多いが、今年はカラテカ矢部がその系譜を引き継ぎそうだ。

 タレント関連本では、昨年“乃木坂46旋風”が席巻した写真集ジャンルにおいて、同じ“坂道シリーズ”の欅坂46・長濱ねるの1st写真集『ここから』が174,604を売り上げ、総合ランキングの24位に入り、“坂道”の底力を示す格好となった。さらに、乃木坂46・西野七瀬の1stフォトブック『わたしのこと』も集計期間ギリギリの5月発売ながら総合49位、写真集部門3位にランクイン、年間での上位を窺う。この他にも初版20万部で6月に刊行される『乃木撮VOL.01』が控えるなど、“坂道”がこの分野をリードしていく公算は高い。引き続きその動向に注目だ。

無敵状態続く『ONE PIECE』&東野圭吾作品

 コミックでは、『ONE PIECE』の強さが際立つ。3月に発売された第88巻が2位に90万部の差をつけ圧倒的No.1に。2009年に発表を開始した上半期コミックランキングだが、『ONE PIECE』はこれで10年連続1位と不動の地位を維持し続けている。また、コミックランキング作品別でも3年連続通算8度目の上半期1位を達成するなど、まさしく国民的マンガとなっている。6月4日には第89巻の発売が控えており、まだまだその牙城は揺るぎないように見える。

 文庫ジャンルでは、映像化された作品が上位を占める結果となった。嵐・櫻井翔主演でゴールデンウィーク公開となった東野圭吾『ラプラスの魔女』が1位。山崎賢人主演で6月8日に劇場公開となる、2016年の本屋大賞受賞作・宮下奈都『羊と鋼の森』が2位。3位の東野圭吾『祈りの幕が下りる時』は16年9月の発売ながら、阿部寛主演で今年1月に公開された映画化の影響もあり、セールスに拍車がかかった。東野圭吾は文庫部門作家別でも累計総売上140.4万部を記録して1位。通算6度目の上半期文庫ランキング作家別1位の歴代最多獲得数を自ら更新した。このほかにも、湊かなえや宮部みゆきなど映像化と相性のいい作家の作品が上位に入っており、今後の実写化への期待を高めている。

 とはいえ、相対的に見ると2018年発売の作品のランクインが目立たなかった印象を受ける今期。総合2位の『モデルが秘密にしたがる体幹リセットダイエット』も、同4位の『おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』も、17年の年間ランキングTOP10を飾った作品であることを考えると、『君たちはどう生きるか』に並ぶ2018年を代表する作品が登場していない淋しさは隠せない(その『君たちは〜』も刊行は昨年……もっといえば約80年前なのだから!)。下半期に姿を現す作品群の“爆発”に期待したい。

(文/田井裕規)
<<総合ランキング表>>
◆BOOK  1位〜25位26位〜50位 ◆作家別 1位〜10位
◆コミック 1位〜25位26位〜50位 ◆作品別 1位〜10位
◆文庫   1位〜25位26位〜50位 ◆作家別 1位〜10位
<<ジャンル別ランキング表>>
◆ライトノベル作品別 1位〜10位  ◆ビジネス書 1位〜10位
◆文芸(小説) 1位〜10位  ◆ライトノベル 1位〜10位
◆タレント本 1位〜10位  ◆写真集 1位〜10位
集計期間:2017/12/4付〜2018/5/28付
(実質集計期間:2017年11月20日〜2018年5月20日)
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