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三月のパンタシア ひとつの物語を音楽と映像で紡いだ新しいライブ表現

 ボーカル・みあを中心としたクリエイターユニット・三月のパンタシア。どこか憂いを帯びた歌声と聴き手側の心に寄り添うエモーショナルな楽曲を発信し、姿を見せない神秘性も相まって、10代〜20代の若者を中心に人気を獲得している。そして、曲の世界観に合わせてコンポーザー(作曲家)やイラストレーターを迎え、そのイラストと連動して作り上げられる映像作品や小説を制作するなどたびたび話題になっている。そんな三月のパンタシアは、6月23日(土)に2度目のワンマンライブ『〜星の川、月の船〜』を行うことが決定している。みあに今回のライブの構想を聞くとともに、謎に満ちた三月パンタシアの中身についてできる限り話してもらった。

統一感を出しつつ、新しい一面も見せたい 目指すのは新たな色味を足していく活動

――楽曲の歌詞のような美しいユニット名ですね。
みあ ありがとうございます。ユニット名を考えるときに、私の好きな言葉をいろいろ並べていったんです。「日本語と外国語を組みあわせたら面白いんじゃないのか」ということが浮かんで、1番最初に思いついたワードが「三月」だったんです。「三月」には別れもあるけど、新しい出会いもある。1ヵ月という決して長くない期間の中で、終わりと始まりが交錯し合う、ドラマティックで物語が生まれやすい月だなと思ったんです。
――なるほど! 「三月」という特定の月を表すワードを用いていたのにはそんな理由があったんですね。となると「パンタシア」もすごく気になります
みあ 「三月」が決定したときにはもう直感的に、次に来るのは「パンタシア」しかないと思ったんです。「パンタシア」にはラテン語で「空想」という意味があるので、“終わりと始まりの季節に、物語を空想する”、「私はその音楽を届ける」と、ユニット名を決めると同時にコンセプトも一緒に決まりました。
――三月のパンタシアには、たくさんのコンポーザーや、イラストレーターが参加していますが、具体的なユニットの在り方ってどんな感じなのでしょうか?
みあ 三月のパンタシアは、固定のメンバーは私のみで、いろんなクリエイターの方に参加して頂いているユニット。私はその代表みたいな感じですね。私はボーカロイドが好きなので、いわゆるボカロPと言われるクリエイターの中から、これから音楽活動を一緒にしていきたいと思った方にデモデープを送らせてもらって、一緒に作品を作っていただけませんかとオファーさせていただいたりしています。「このクリエイターが加わるとこういう感じになるんだ」と、新たな魅力を見つけてもらえたら嬉しいので、今後もメンバーを固定する予定はないんです。ユニットとしての世界観、統一感も感じてもらいたいので、一気にではなく少しずつクリエイターをお迎えして色味を足していけるような活動をしていきたいです。

音楽、映像、朗読を通して1本の映画を観ているような感覚を届けていきたい

――今回のライブでは、4部構成のストーリー仕立てのライブだそうですね。
みあ ライブは、三月のパンタシアの楽曲の『星の涙』の物語がモチーフになっています。そのストーリーの中で漂う感情を楽曲で紡いでいくっていう、ある種、映画を観ているような感覚を映像と音楽を通して届けていきたいと思っていて。ライブの中で、しっかりと物語を伝えたいなと思って、“あらすじ”として4部構成のうちの3章までの動画を、事前にYouTubeにアップすることになっています。そこでライブの空気感やストーリーを知ってもらうのも面白いのかなって。
――たくさんの楽曲を、ひとつの物語で紡いだということでしょうか?
みあ そうです。それぞれの楽曲にもそれぞれ物語があるので、それらを繋げてまた物語を作っていくのは難しかったです。でも、表現する世界観の輪郭ができたときはとっても嬉しくて。すごくいいライブになるのではと思っていますし、皆さんがライブをどんなふうに感じてもらえるのかなって考えると、今からわくわくします。
――それぞれ世界観の違う楽曲をどのようにひとつの物語として繋げていったのでしょうか?
みあ 最初にライブで見せたいイメージをまとめました。それが、『星の涙』という楽曲をモチーフにした物語です。そこから、ストーリーを4部に分け、“それぞれの章で伝えたいこと”を決めました。その伝えたいことに合わせて楽曲をカテゴライズしたんです。たとえば、「出会いの曲」「別れの曲」「すれ違いの曲」というふうに。そうしていく中で「これとこれを繋ぎ合わせたら物語として成立する」「この感情のあとにはこういう感情がくる」など、パズルのピースをはめ込んでいく感覚で進めていきました。
――今回のライブの最大の魅力は、“ひとつの物語”というところにあるのでしょうか?
みあ これまでも映像と音楽で“三月のパンタシア”の表現をしてきましたが、これまでに紡いできた物語をさらに大きな物語として体感できるのが今回のライブの魅力だと思います。物語は、作ったらそれで終わりではなくて、受け取ってくれるお客さんがいて初めて物語になると思っています。私達とライブに来てくれるお客さんにしかにしか味わえない“その日だけの物語”を楽しんでもらえたら。
――聴いてくださる方に、その物語の主役になってほしいということでしょうか。
みあ 自分の中にある物語と三月のパンタシアが届ける物語を重ねた先に、その人自身がいるかもしれないですし、違う人がいるかもしれない。楽しみ方は皆さんそれぞれでいいと思います。三月のパンタシアが届けていくライブはその物語の主人公の青春時代を回想していくようなストーリーなので、それを聴いたお客さんが自身の青春時代をふと思い出すような、懐かしい気持ちに浸ってもらうことによって物語は完成していくのかなと。

お客さんと一緒に楽しくなったり、エモーショナルな気分になれることがライブの楽しみ

――2回目のワンマンライブを控える今の心境は?
みあ 昨年、初めてのワンマンライブをやらせてもらって、それが本当に素敵な時間だったので、「またライブをやりたい!」という思いはずっとありました。なので、単純に「嬉しい!」ですね。前回のライブでは、前日ぐっすり眠れて当日もスッキリ起きて、「あ、私って緊張しないのかも」って思っていたんですけど、ライブが始まる頃にはドキドキしてきちゃって。緊張したまま、ステージに出ることになっちゃったんですけど、いざ出た瞬間のお客さんの暖かい歓声が忘れられないんです。そのときのありがとうの気持ちや、今までお客さんにもらってきた愛を改めてお返ししたいですし、歌を通して直接自分の想いも伝えたい。ファンの皆さんを前にして近くで顔を見ながら一緒に楽しくなったり、エモーショルな気分に浸ったり…そうやって思いを通じ合わせながら歌えるのって本当に幸せだし、感動的なことだと思うんです。活動の中で、夢が叶っていく実感があるので、あれもやりたい、これもやりたいと、欲張りになっていきますね(笑)。
――たとえば最近だとどんな夢が叶いましたか?
みあ ライブができることも、もちろんそうなんですけど、ライブの中のストーリーの朗読を声優の豊崎愛生さんにお願いできたことも、叶った夢のひとつです。もともと豊崎さんのファンだったのですが、三月のパンタシアの『ルビコン』という楽曲がエンディングテーマに起用された『Re:CREATORS』というアニメに、豊崎さんが出演されているのを観て、さらに好きになってしまって(笑)、いつか一緒にお仕事させていただけたらなって思ってたんですよ。今回のライブの世界観には豊崎さんの声がぴったりだと思い立ったらどうしても豊崎さんにお願いしたくなって。思いきってオファーさせてもらったら、快くお受けいただけて…。豊崎さんのおかげで夢がひとつ叶いました!
――ほかに叶えたい夢はあるのでしょうか?
みあ 今後、“三月のパンタシア”自身をモチーフにした映像作品を作ってみたいなと思っています。あ、まだ全然予定もありませんけどね(笑)。私は映画を観るのが好きなんです。最近は特に『たかが世界の終わり』などの作品を手掛けているグザヴィエ・ドランという監督の映像表現が好きなんです。若い監督なのですが、物語の最後にその監督の切なさというか、心に秘めているものがすごく感じられて。私も、そういう映像表現ができるなら、やってみたいですね。物語と音楽を連動させて、その世界をどんどん広げていけたら楽しそう!
――みあさんの中で“表現する”ということに制限はないんですね。
みあ そうですね。これからも音楽のみにとどまらず、いろんな表現に挑戦していきたいです。私自身もボーカリストとしてまだ発展途上なので、前回のライブで、やりたくても表現できなかった部分がありました。その中で、今回表現できそうなものもありますし、できないものもあります。もしかしたらその次のライブにはもっと違う表現を見せることができるかもしれないですし、表現の幅はどんどん広くしていかなきゃいけないと思っています。もっともっと成長したいし、もっともっといろいろなことを伝えたい。表現することに終わりはないのかなって思っていますね。

(文/kanako kondo)

ライブ情報

『〜星の川、月の船〜』
日時:6月23日(土)
会場:TSUTAYA O-EAST
開場:16:30/開演:17:30
前売:\4,320(税込+ドリンク代別/オールスタンディング)
◆三月のパンタシア オフィシャルYoutubeチャンネルはコチラ
◆三月のパンタシア オフィシャルサイトはコチラ

プロフィール

2015年8月に『day break』で活動を開始。主にネットでの活動をメインに『星の涙』『イタイ』といった楽曲を発表。参加コンポーザーの楽曲の再生回数はトータルで3000万回を超えている。イラストでのイメージ展開もしており、「loundraw」(小説『君の膵臓をたべたい』(住野よる著)のカバー等を担当)や「ふすい」(小説『青くて痛くて脆い』(住野よる著)のカバー等を担当)らが、キーヴィジュアルを手掛けている。

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