(更新:)
ORICON NEWS
吉田栄作の“枯れ演”で話題、年齢に抗わない生き様の強み
トレンディ俳優としての栄光 多くの男たちが憧れた“吉田栄作スタイル”
俳優としては、代表作『もう誰も愛さない』(日本テレビ系)で主人公の沢村卓也を演じ、運転手を経て、企業の社長に成り上がったものの半身マヒとなってしまう難しい役どころをこなす。牛乳で汚れた田代美幸(山口智子)の足を舐めるといったシーンにも果敢に挑戦し評価を得た。当時、吉田が「うおおお!」と叫ぶ名シーンを真似する人も多かった。
また、吉田が着用していた白いTシャツとデニムパンツのシンプルスタイルや、センター分けのサラサラヘアが大流行。吉田は若者たちの“ファッションアイコン”としても絶大な支持を受ける。
そんな吉田は、演技の他に歌手活動も行い、チューリップのヒット曲をカバーした「心の旅」を90年に発売し『NHK紅白歌合戦』にも出場。93年放送のドラマ『徹底的に愛は…』(TBS系)ではX JAPANのYOSHIKI作詞作曲のシングル「今を抱きしめて」を発売し、『第36回日本レコード大賞』で優秀賞を受賞。ファッション、俳優、音楽など多面的に成功を収め、まさに時代の寵児と呼べる存在だった。
“俺様”キャラが災い!? 芸能界を一時休業するも、『マネーの虎』の司会役で復活
そんなイメージも災いしてか仕事も徐々に減少し、95年には芸能界を一時休業。その後、“俳優修業”として渡米したものの、映画やドラマのオーディションでは行けば必ず落ちる状況であったようだ。そんな苦闘を経て帰国したものの、すでに吉田のトレンディ俳優としての“旬”は過ぎ去っていた。
しかし、2001年開始の『マネーの虎』(日本テレビ系)で復活の狼煙を上げる。ここでは司会者として存在感を発揮し、“虎”と呼ばれる名物社長らと丁々発止のやりとりを見せると同時に、「マネー成立です」「ノーマネーでフィニッシュです」の決まり文句で強烈なインパクトを残したのだ。
俳優業でも、NHK大河ドラマ『元禄繚乱』、『武蔵 MUSASHI』などの時代劇にも挑戦すると共に、『やわらかい服を着て』、『オットーと呼ばれる日本人』など新国立劇場での舞台演劇などにも出演。その演技力が再評価されることとなった。
過去の栄光に囚われない “枯れ演”で存在感
ネットでは、「未解決の女見たけど、吉田栄作マジよかった。変人で、ちょっと枯れた感じの教授役」、「くたびれた初老の教授を演じる吉田栄作さんがとても良いね。ひとり残された教授の胸の痛さに泣いてしまった」、「地味な大学教授の吉田栄作カッコイイ。渋い」といった声が続出。
過去、ファッションアイコンとして一時代を牽引した過去の栄光にしがみつかず、老いからくる“哀愁”や“儚さ”を演技で表現する吉田の姿勢に、「役者魂」を感じるネットユーザーが多数いたのだ。
吉田だけじゃ無い! 近藤サトの“白髪姿”に「カッコイイ」の声も
だが、上記のような老いと“戦う”という選択がある一方で、ありのままの姿を“あえて”晒すタレントもいる。吉田と同じ49歳の元フジテレビアナウンサーの近藤サトは、5月4日放送の『バイキング』(フジテレビ系)に、白髪を隠さないグレーヘアで登場し話題となった。まさにそれは、年齢に“抗わない”生き方そのもの。
こうした近藤の姿勢に対しSNSでは、「まだ40代なのに何があったのか」と心配する声がある中、「素敵なグレーヘアで似合ってる」、「和服が似合ってて素敵」、「なんかカッコイイと思った」といった風に、白髪を染めないナチュナルな姿に共感するコメントも数多く見られた。
「劣化論争」へのアンチテーゼ? 年齢と“戦わない”という選択
昨今は、ちょっとした容姿の変化で「劣化論争」に発展することもあり、それがタレントにとってマイナスイメージに繋がるケースもある。それゆえ、吉田のように“年齢に抗わない”姿勢や、沢田、近藤らの“ありのままの姿”を見せる生き様は「劣化論争」へのアンチテーゼと言えるのかもしれない。
変わらぬ姿で“幻想性”を保つことが芸能人の魅力のひとつ。しかし、高齢化が加速していく日本社会においては、年齢に「抗わない」生き方もまた、視聴者から支持されるはずだ。今後はタレントたちの間で、“老い”とは戦わずに共存していくスタイルが増えていくかもしれない。