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オタク女子の「お布施学」 オタク経済を動かす“覚悟の浪費”とは?
オタク女子は身の回りにいる!? 推しへの浪費は“愛”
2010年代、オタク文化が“一般化”され日本の主流コンテンツとなると、世の男たちは自身の内に潜む“オタク性”を社会に発信するようになった。そして昨今、時代は一歩進み、オタク系女子であることを告白できる土壌が築かれつつある。
『浪費図鑑』では、そうした女性たちの“オタク心理”が事細かに描写され話題となった。本書を読んだネットユーザーからは、「あれ共感ポイントしかなかったし『アニメ、アイドルのオタクを経てホスト通いになった人』の話はしんどすぎた」、「わかる!わかる!がいっぱい。浪費ではなく愛なんです」と、共感する女性の声が数多く見られた。
浪費することに意義がある 好きなコンテンツを支えている“ぷちタニマチ感”
こうした “お布施”行為はいま、日本の多くのコンテンツを支えている。例えば、人気テーマパークの年間パスポートを購入し、足?く通う行為は“総本山”への参拝行為にも近い。また、人気男子フィギュアスケートの追っかけは海外遠征にまで同行。その総額が「高級車一台分」というファンもいるようだ。
このあたりは宝塚歌劇団を応援する女子たちにも共通する「日本の伝統的スポンサー文化」とも呼べるかもしれない。言ってみれば、“ぷちタニマチ”でもあり、一般人ながら後援者やスポンサー的な満足感を味わえるのだ。
コンテンツの継続を左右 オタク経済を動かす“お布施”の功徳
それらを明確に示したのが、5月5日にNHK BSプレミアムで放送された『全ガンダム大投票』だ。『機動戦士ガンダム』の40周年となる今年、NHKが全ガンダムシリーズを対象に人気投票を実施したのだが、ガンダムは関連市場規模が700〜800億円と言われる日本を代表する巨大コンテンツ。そして、その支持層はこれまで男性が中心だった。
しかし、当番組で放送された作品別ランキングでは、『ガンダムSEED』(3位/女性票44%)、『ガンダムOO』(4位/女性票35%)、『鉄血のオルフェンズ』(6位/女性票45%)といった“平成ガンダム”が上位にランクイン。男女比率を見れば、女性票の存在がこれらの作品を上位に押し上げたことが分かる。こうした点からも、コンテンツの継続には、女性ファンの獲得がキーポイントとなっているようだ。
前述した通り、彼女たちの浪費は、自身が“推す”コンテンツや作品を“次”につなげたいという願いが込められている。つまり、推しコンテンツの継続、漫画ならばアニメ化への展開やDVD化、さらに映画化や舞台化など、愛するコンテンツの発展のためにお布施をしているのだ。事実、彼女たちの“浪費力”によって、アニメや漫画が「舞台化(2.5次元)」するのはスタンダードとなり、アニメ界の新たな消費スタイル・ビジネスモデルとさえなっている。
オタク女子の“覚悟の浪費”に付随 男性人気は後からついてくる
とは言え、オタク女子も目が肥えており、コンテンツのキャラクターやシナリオ、設定などの微妙なニュアンスなどに対する感性が鋭く、ちょっとした矛盾やあざとさ、狙いすぎ、露骨なビジネス臭などを感じ取れば、急速に熱が冷めるケースもあるようだ。
また、昨今は1シーズンに60タイトル以上ものアニメ番組が放送されており、それゆえに“目移りもしやすく”、アニメコンテンツの寿命も以前よりも短くなってきている。2015年、大ブームとなったギャグアニメ『おそ松さん』も、二期放送開始まで約一年半というタイムラグがあったため、一期ほどの盛り上がりを起こせなかった事例もある。
いずれにしろ、コンテンツの発展を考える際は、“オタク女子”たちの動向は決して無視できないものとなっている。今後、彼女たちの“お布施=愛”がどんなコンテンツを育て、新たなムーブメントを発展させていくのか楽しみだ。